研究課題/領域番号 |
19K01687
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
新熊 隆嘉 関西大学, 経済学部, 教授 (80312099)
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研究分担者 |
東田 啓作 関西学院大学, 経済学部, 教授 (10302308)
村上 進亮 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (40414388)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 紛争鉱物 / ドッド・フランク法 / Gravity model / 資源の呪い / 紛争 / アフリカ |
研究開始時の研究の概要 |
コンゴ民主共和国およびその周辺国で採掘される一部の鉱物は、その収入が反政府武装組織の資金源となっている。本研究では、紛争鉱物の市場からの締め出しを狙ったドッド・フランク法の有効性について、同法が関連鉱物の国際貿易にどれほどの影響を与えたのかを貿易データを使って検証する(①Gravity modelによる二国間貿易量分析)。さらに、Gravity modelを補完するアプローチとして、商用データベースを用いて詳細なフローを把握し、下流の製造業やリサイクルまで含めたサプライチェーンの構造変化をネットワーク分析の手法を用いて明らかにする(②マテリアルフロー分析)。
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研究成果の概要 |
Gravity modelにもとづく二国間貿易量分析によってドッド・フランク法の有効性を検証し、以下の分析結果を得た。まず、同法によってDRCからアメリカとOECD諸国への対象鉱物の輸出は減少した一方、DRCの周辺国からの輸出が増加したことが明らかになった。続く頑健性の検証をかねたいくつかの推計によって、これは、DRC産の鉱物が周辺国に密輸され、周辺国産として輸出されたものである可能性が高いことが示された。また、紛争による死者数と貿易量の関係についても、輸出国における紛争による死者数と輸出の関係が同法の施行後に弱まったが、周辺国への密輸によってその効果が弱められていることも明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究によって、ドッド・フランク法はある程度有効に働いたと言えるが、密輸によってその効果が弱められていることが示された。法律の実効性を検証した先行研究は多数存在するが、それは、密輸などの法令不遵守の可能性を前提とした検証ではなかった。一般に、密輸のようなデータとして可視化できない現象を貿易データのような公式データを使って浮き彫りにすることは非常に困難である。本研究は、本来学術的に検証することが困難な密輸の存在の証明に限りなく迫ったという点で、高い学術的意義を持っていると言えよう。また、本研究の成果は、国際貿易に影響をもつ条約や協定をデザインする際にも役立つものであることは言うまでもない。
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