研究課題/領域番号 |
19K01692
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉田 浩 東北大学, 経済学研究科, 教授 (60275823)
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研究分担者 |
上村 敏之 関西学院大学, 経済学部, 教授 (00328642)
金田 陸幸 大阪産業大学, 経済学部, 准教授 (50782083)
佐藤 康仁 東北学院大学, 経済学部, 教授 (90337189)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 少子高齢化 / 公的年金 / 世代間不均衡 / 人口推計 / マイクロシミュレーション / 少子化 / 高齢化 / 年金改革 / 世代間格差 / 世代会計 / 投票率 / 財政赤字 / ミーンズテスト / 資本蓄積 / 老後生活保障 / 所得代替率 / 世代間公平 / マルチエージェントモデル / 世帯数予測 / 財政検証報告 / 将来人口推計 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題における核心的な学術的な「問い」は、「現時点で100年間の持続可能性と50%以上の所得代替率が保証されているとする年金制度およびその検証報告」は学術的にみて社会保障上の実効性と真の持続可能性を担保しているといえるのかという点である。 このため、将来の代表的な世帯構成である「共働き世帯」の所得代替率がどのような状況であるか、マクロ経済スライドの実施により年金財政が100年維持されたとしても、低額な受給者側から見て実効的な年金水準と評価されるか、十分実用的な所得代替率という意味での年金の実効性は維持されないのではないかを定量的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度は、社会保険制度の保険料を主に負担する子育て世代に焦点をあて、過去の税制改正による勤労所得税、個人住民税の税負担の変化および所得再分配効果を明らかにした。 主な分析結果は以下の通りである。 ①子育て世代においては、レイノルドシモレンスキー係数(以下、RS係数)は租税負担のカクワニ係数の変動に影響を受けており、租税負担のカクワニ係数は、租税負担の集中度係数の変動に大きく影響を受けている。②過去の税制改正における扶養控除の廃止・縮小が子育て世代の租税の集中度係数を低下させている。③近年では高所得者の所得の伸びと比較すると、個人住民税の税負担額の上昇が緩やかである。④子どもの数別に世帯をグループ分けし、それぞれの指標を見たところ、子どもの数別では、三位一体改革や扶養控除の影響が異なる。⑤学校種別に世帯をグループ分けすると、勤労所得税の集中度係数に関しては違いが見られるが、個人住民税には大きな変化が確認されない。
また、公的年金制度の将来と持続のための改革に関する研究として、令和元年財政検証結果を再検証および令和5年新人口推計に基づく将来展望を行った。その結果、令和元年財政検証の結果を用いて、今後の年金会計収支は維持できても、代表的な世帯で老後生活を十分にまかなうという意味での年金の持続可能性は危ぶまれることを指摘した。また、現行の所得代替率の計算方法にも問題があることを指摘した。さらに、国庫負担の増加では真に問題が解決しないことや「資力調査」の検討を通じて年金の効率性を高めることを明らかにした。さらに、2023年の最新の将来人口推計に基づけば、厚生年金の積立金はこれまでより早く枯渇するという試算結果が得られた。たとえ老後に要介護状態にならなくとも現在の年金制度のもとでは、安定した生活が危ぶまれることは重大な問題であるとの結論を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り 1)人口の推計 2)年金財政の検証 3)世代間不均衡の検証 の順で進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
公的年金財政および世代間不均衡に最も大きな影響を及ぼす将来の人口構造の予測(将来人口推計)に関し、よりダイナミックで精緻な推計方法を追究してゆく。
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