研究課題/領域番号 |
19K01699
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
駒村 康平 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (50296282)
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研究分担者 |
四方 理人 関西学院大学, 総合政策学部, 准教授 (70526441)
渡辺 久里子 神奈川大学, 経済学部, 助教 (30733133)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 貧困・格差 / 社会保障 / 家族構造 / 労働市場 / シャープレイ値 / 格差 / 貧困 / シャプレイ値 / 所得格差 / 貧困率 / 寄与度分解 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本における所得格差と貧困率の変動要因や決定要因を明らかにするため、寄与度分解の手法等を用いて検証を行う。先行研究では、年齢や家族構成などの単一の要因でしか所得格差や貧困率の要因分解がなされておらず、複合的な要因による説明が行われてこなかった。 そこで、近年、発展しつつあるシャープレイ値を用いた寄与度分解や回帰分析をベースにした寄与度分解の手法等を用いることで、単一の要因ではなく、労働市場、家族構成の変化、政策変化の要因など様々な要因を用いた分解を行い、要因の秤量等を行う。 これにより、近年の所得格差や貧困率の動向と労働市場や家族の動向について整合的な説明を行うことを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究では、日本の所得格差や貧困の変動や決定要因について、①労働市場の変化、②家族の変化、③政策変化との対応から分析を行う。研究第5年目には、貧困の変動要因について、①家族の変化及び③政策変化の対応の視点から分析を行った。 1986年から2019年までの厚生労働省「国民生活基礎調査」を用いて、高齢期の貧困率の男女ギャップが拡大している理由について考察を行った。その結果、死別女性の貧困率が上昇したことによって、貧困率の男女ギャップが拡大していたことが明らかとなった。死別女性の貧困率が上昇した背景には、家族扶養による貧困削減効果が低下する中で、死別高齢女性本人の公的年金による貧困削減効果も停滞していたことがあった(四方・渡辺, 2023)。 ①労働市場の変化と③政策変化との対応に関する研究として、雇用と年金の接続に関する分析を行った。高年齢者雇用安定法の改正によって、高齢者の継続就業が達成され、支給開始年齢引き上げに伴う収入の低下を防ぐことができているか、実証的な課題となっている。そこで、厚生労働省「国民生活基礎調査」を用いて、厚生年金の支給開始年齢のコホート別に就業と所得の変化について検証を行った。その結果、60から61歳にかけて、徐々に非正規雇用の割合が上昇したことによって就労所得は大きく低下し、支給開始年齢が引き上げられる前の世代より可処分所得が低下していたことが明らかとなった(四方, 2023)。 関連する研究として、団塊ジュニア世代の就業と社会保障について考察を行った。団塊ジュニア世代は、未婚率が高く、出生率が低い。さらに非正規労働者の期間が長かったため、老後、貧困になる確率も高いと見込まれる。2040年に向けて、政府が社会保障制度改革を進める必要性を論じた(駒村, 2023)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本の貧困について、①労働市場の変化、②家族の変化、③政策変化との対応から分析を行い、論文等を刊行するとともに、国内外において学会発表を行う等、着実に研究成果をあげている。そのほか、公私ミックスの年金制度の在り方等に関する論文を刊行しており、おおむね順調に進捗していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
研究第6年目は、本研究の内容を総括し、積極的に論文を刊行するとともに、学会発表等を行う。本研究は、日本の所得格差や貧困の変動や決定要因について、①労働市場の変化、②家族の変化、③政策変化との対応から分析を行うことを目的としている。日本ではこの20年間に賃金格差の拡大や低賃金化が進んだにもかかわらず、所得格差や貧困率の変化率が比較的小さかった。その理由は、所得格差や貧困率の測定において用いられる可処分所得そのものが複合的な要因で決定されていることがあげられる。そこで本研究では、労働市場や家族構成の変化、また税制や社会保障といった政策の変化が、日本全体の所得格差や貧困率にどのような影響を与えたかを明らかにするため、各要因について寄与度分解の方法等を用いて分析を行う。
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