研究課題/領域番号 |
19K01711
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 北星学園大学 (2021-2022) 北海道大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
板谷 淳一 北星学園大学, 経済学部, 教授 (20168305)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | スティグマ / 生活保護 / 不正受給者 / 漏給 / 統計的差別モデル / 納税者の怒りモデル / 進化ゲーム理論 / 定常均衡 / 安定性 / Stigma / Population Dynamics / Incomplete Take-up / needy / non-needy / welfare fraud / Population Dynamics / Incomplete Take-up / 最適所得税 / 進化ゲーム |
研究開始時の研究の概要 |
マーリーズ (1971)は一定の税収を確保しながら社会厚生を最大化する最適非線形所得税理論を構築して、いかなる条件下で累進所得税制を正当化できるかを考察した。他方、生活保護の制度設計はアカデミックだけでなく実際の政策立案において税制とは別個の問題として議論されている。これに対して、本研究では、生活保護の受給にスティグマが伴う結果、漏給(生活保護を必要とする者が受給要件を満たしているにもかかわらず受給しない状態)が生じている状況下で、2つの制度を一体化して、共通の政府予算制約下で一つの社会的厚生関数の最大化して、最適所得税構造および生活保護給付水準および基準額を同時に決定するモデルを構築する。
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研究成果の概要 |
進化ゲーム理論を応用した生活保護におけるスティグマの形成の2つの理論モデルを構築した。 (1)動学的統計的差別モデルにおいて、2つの長期均衡が生じた。ひとつは、不正受給者はゼロであったが、受給資格者もスティグマのためにだれも受給しない(完全漏給者)という均衡がうまれた。もう一つの均衡は、ある程度受給資格者も受給したが、不正受給者が多数が生まれた。(2)動学的納税者の怒りモデルでは、両者が混在する唯一の長期均衡が得られた。その均衡では完全漏給者数は減少したが、不正受給者も存在している。この均衡の性質はドイツや日本の現状をうまく説明できる。この均衡が正しければ、一番望ましい政策は賃金率の増加である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
理論的な結論は、なるべく不正受給者および完全漏給者(資格があるのに受給しない人)を減少させるための最適な生活保護制度をデザインするための政策指針を得ることができた。しかし、統計的差別モデルを使うか、納税者の怒りモデルを使うかによって、到達可能な長期均衡点が異なる。しかし、両モデルはほぼ同じ政策的なインプリケーションを与えている。特に、賃金率の上昇が一番の望ましい政策であることが示されている。給付水準を上げることが次に望ましい。本研究から得られた政策的インプリケーションは、ある程度の一般性および普遍性があるので、現実の生活保護制度をデザインする際に適用できると考えられる。
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