研究課題/領域番号 |
19K01721
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
風神 佐知子 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (00510851)
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研究分担者 |
遠藤 正寛 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (80281872)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 留保賃金 / 在宅勤務 / 最低賃金 / 地域 / 雇用創出 / 波及効果 / テレワーク / 正規雇用 / 地方 / 大企業 / 集積 / IT産業 / 非正規雇用 / 生産性 / 女性 |
研究開始時の研究の概要 |
日本では、グローバルトップ企業を目指した海外展開促進と、その果実の地域・中小企業への波及に向けた取り組みが行われてきた。昨今では、ICTの普及・進化により、従来の正社員とは異なる働き方や地域発のイノベーションが目指されている。本研究は、大企業や都市部での雇用が、中小企業や地方の雇用創出に過程を含めどのように波及しているのか、その要因は何かを分析する。従来の数量のみに着目した研究ではなく、雇用の質をも考慮する。これまでのマクロモデルによるシミュレーションと個別政策の評価の間を埋め、定量的に波及効果・過程を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本課題研究の目標は、大企業や都市部での雇用が、中小企業や地方の雇用創出へどのように波及するかを検証することである。2022年度は、第一に各産業の東京との相対的生産性、各都道府県・産業との連関、雇用および消費について分析した。その結果、高生産性部門の乗数は低く、地域経済の成長に効率的につながっていなかった。さらに、生産性の高い部門が生み出す雇用は少ないことが分かった。消費面からは、高所得層は指数関数的に教育の消費を増やすが、県内では生産面・雇用面で他産業に波及していないことや、都道府県別産業別生産性と居住県外での消費について明らかにした。第二に、最低賃金は都道府県別に決められ、労働市場の状況(独占度)により影響が異なることが予測されることから、最低賃金の変動が労働需要に及ぼす影響とその影響が地域差によって異なるかどうかを日本の求人広告データを用いて検証した。その結果、最低賃金を上回る求人の増加と最低賃金を下回る求人の減少は非対称的な動きであること、労働市場が独占的であればあるほど、最低賃金の増加によって提供される仕事は(そうでない市場より)多くなることが明らかになった。 第三に、日本の求職者の希望賃金のデータを用いて、コロナ禍で普及した在宅勤務が留保賃金に与える影響および地域の労働市場との関連を分析した。地理的な違いを分析すると、自治体の失業率は留保賃金に負の影響を与え、また、求職者の求人の職業構成によって決定される自治体レベルの在宅勤務の実現可能性はフルタイムの仕事の留保賃金を減少させていた。第四に、在宅勤務は女性の就業に好ましく地方から都市部への移住を抑制することが世間で期待されたが、分析の結果、地方よりも都市部で在宅勤務の実現可能性が高い仕事が供給され、女性が働きやすい仕事が多い自治体や、職種が限られている自治体では、在宅勤務の機会が少ないことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究期間では地域労働市場について分析を積み重ねてきたが、研究期間の後半になり、本研究課題の核心である波及についての分析をはじめられたため、計画通りに進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度になるため、2022年度の分析を深化させる。さらに、これまでの研究期間で行った各分析を横断する最終考察・分析を行う。
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