研究課題/領域番号 |
19K01732
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 帝京大学 (2020-2022) 一橋大学 (2019) |
研究代表者 |
奥田 英信 帝京大学, 経済学部, 教授 (00233461)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | ドル化と金融発展 / ドル化と銀行の資本構成 / ドル化と銀行市場の競争度 / 銀行の資本構成 / 銀行の費用効率性 / 銀行市場の競争度 / カンボジア / ドル化 / 商業銀行 / 資本構成 / 市場競争度 / 競争度 / 銀行 |
研究開始時の研究の概要 |
ドル化が進んだカンボジアでは、銀行部門の総資産残高と総負債残高の90%以上がドル建てとなっている。このため、中央銀行は、最後の貸手機能を果たせず、民間銀行は著しく高い流動性資産の保有比率と自己資本比率を維持している。このことがカンボジア銀行業の費用効率性を低下させ、市場競争度にも影響を与えている。 しかしながら、カンボジアの銀行の資本構成決定に関する計量分析は皆無である。本研究は、先進諸国で利用されている銀行分析手法を用いて、カンボジアの銀行業の資本構成の決定要因の解明を試みる。更に、その結果を踏まえて、中央銀行の最後の貸手機能の欠如に対応するための政策立案上の問題点についても検討を進めたい。
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研究実績の概要 |
(a)現地調査の中止と計画の変更:当初の現地調査予定では、令和1年度に暫定的な計量分析を行うためのデータ収集と、令和2年度に暫定的分析結果についての現地研究者等との討議、令和3年度には研究成果の学会報告と学会誌への投稿のための最終確認を行う予定であった。しかしCOVIT19によるコロナ禍により、令和2年からカンボジアへの入国が事実上できなり、予定してた現地調査を中止した。令和4年には、コロナ禍によるカンボジアへの入国制限は大幅に緩和されたが、日本への再入国は厳しく制限されたままのため、日程を短期間に抑えた現地調査は出来なかった。オンライン等による意見交換やデータ収集も、コロナ禍による現地金融機関の経営への混乱によって難しくなった。 (b)データベース拡充: (a)の事情から、令和2年度と令和3年度の現地調査ができなくなったため、中央銀行や国際金融機関のホームページからデータを収集した。しかし令和2年度と令和3年度のデータはコロナ禍の影響による異常値であることや、ホームページ上のデータでは小項目までの詳細が分からないため、計量分析に適切でない。 (c)計量分析結果の発表:データ制約と信頼性、現地聴き取り調査の欠如というという問題が残っているが、暫定的な分析結果として、カンボジア商業銀行に関する銀行資本構成の決定要因に関する論文と銀行市場の競争度の推計に関する論文を大学紀要に発表した。 (d)以上のように、当初に計画していた現地調査とデータ収集作業ができなくなったため、本研究を令和4年度まで1年間延長した。しかし令和4年度においても、日本再入国に厳しい制限が残ったため、予算的に限られた短期間で現地調査を行うことは不可能であった。このため、本研究を令和5年度まで再度延長することを申請し、申請が認められてた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度の現地調査では、研究者と実務家との意見交換および追加資料収集を行う計画であったが、コロナ禍による出入国制限のため現地調査は行えなかった。また公開データは収集できたが、カンボジア経済の混乱と金融機関経営の悪化のため、信頼性と連続性があるデータは得られなかった。このため計量分析のためのデータベースの十分な拡張はできなかった。 これらの事情から、令和4年度も、データベースを拡張ができず、現地での聴き取りや意見交換による分析結果の検討もできていない。銀行の資本構成の決定要因並びに費用効率性の推計作業は進展が見込めず、それらの成果を取り纏めて行う計画であった計量分析や、学会報告や学会誌への投稿が滞っている。 状況の改善にはカンボジアへの入国制限と日本再入国に関する制限が緩和され、同時にカンボジア経済情勢の安定化と金融機関経営の正常化が不可欠である。
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今後の研究の推進方策 |
幸いにも令和5年になり、コロナ禍によるカンボジアへの入国制限は無くなり、日本への再入国規制も大幅に緩和された。コロナ禍も終息に向かっており、カンボジアの経済情勢も安定化し金融機関の経営も正常化が進んできた。 令和5年度には、(a)現地調査もしくはオンラインで現地研究者との意見交換とデータ更新を行う。これを踏まえて、(b)銀行の資本構成決定要因、費用効率性、市場競争度の計量経済分析を行い、(c)研究成果の学会報告と学会誌への投稿を進める。 万が一、令和5年度にコロナ禍もしくは予測不能な事情により現地調査やデータベース拡張が出来ない場合は、既存のデータベースのみを使って、研究成果を発表する。その際には、定性的な分析の比重を高めるように努力する。
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