研究課題/領域番号 |
19K01747
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
青野 幸平 立命館大学, 経済学部, 教授 (20513146)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 金融政策 / 石油価格 / 株式市場 / ESG / COVID-19 / Covid-19 / 為替制度 / 非伝統的金融政策 / 外的要因 |
研究開始時の研究の概要 |
日本銀行が採用してきた「量的緩和政策」・「量的質的緩和政策」・「マイナス金利政策」などの金融政策は,金融論やマクロ経済学の教科書で説明されている金融政策とは異なることから「非伝統的金融政策」と呼ばれている。同じような政策は日本だけでなくアメリカやヨーロッパでも採用されているが,「非伝統的金融政策」が実体経済(GDPや物価,景気など)に効果があるのかについて十分に検証されていない状況である。 本研究課題では,この非伝統的金融政策の効果について,石油価格などの実体経済に影響を与えるであろうほかの要因(外的要因)の影響も考慮した上で,エビデンスを考察していく。
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研究実績の概要 |
本年度は,研究実績の概要は下記の2点である。 1つ目は,2000年以降,日本の株式市場のみならず世界各国の株式市場に大きな影響を与えた「COVID-19」という非常に大きな外的要因に着目し,株式市場にどのような影響を与えるかについて,各企業の現金保有に着目した研究である。その際に,「COVID-19」は予測することの出来なかった外的要因であると考え,比較的近い時期に発生した外的要因で,企業や投資家にとって予測することの出来たと考えられる「消費増税」の影響と比較することで,外的要因が株式市場に与える影響について考察した。この研究については,“Measuring the Value of Corporate Cash Holdings against Predictable and Unpredictable Negative Shocks”(共著)として研究会での報告を行い現在投稿中である。 2つ目は,株式市場における財務要因以外の外的要因として近年着目されている「ESG」が株式市場にどのような影響を与えているのかを考察した研究である。「ESG」の中でも特に,日本企業の女性活躍という側面に着目し,女性活躍に積極的な企業からなるポートフォリオとESGに積極的な企業からなるポートフォリオ,株式市場全体のポートフォリオを比較することで女性活躍を推進することの重要性を株式市場が評価していることを確認した。この研究は, “When does the Japan Empowering Women Index Outperform its Parent and the ESG Select Leaders Indexes?” (共著)として発表した。この研究は,学術誌“International Review of Financial Analysis”のvol.85に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では,石油価格や為替市場,海外の経済状況のような「外的要因」について考察した上で非伝統的金融政策(マイナス金利・リスク資産購入など)が日本の株式市場に与える影響について考察している。さらに,COVID-19やESGという外的要因も含めて株式市場に与える影響について考察することを課題にしている。 本研究課題の目的達成に向けて,非伝統的金融政策の1つである「ETF購入」に着目した分析と「ESG」が株式市場に与える影響に着目した分析の2点についてはこれまでに学術雑誌に掲載されている。さらに「COVID-19」に関連した研究についても現在投稿中である。これらを勘案すると研究課題の3年目の進捗状況としてはある程度順調であると評価出来る。 一方で,昨年度から継続した課題である金融政策変数を作成する際にポイントになる「コールレート翌々日物(Tomorrow Next)」の価格がつかない(取引がない)営業日が増えていることの扱いについての解決策を見つけられていないこと,2022年2月以降,石油価格の決定要因に大きな外的要因が増えたことをどのように分析に取り込んでいくのか,という問題を解決できてないことは課題として残っていることを指摘しておく必要がある。 以上,順調に進んでいる点と解決すべき課題の両面を勘案したとき,現時点の進捗状況としては「おおむね順調に進展している」と判断するのが妥当であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策は下記の通りである。 1つ目は,現在投稿中の論文について,海外の学術雑誌に掲載されるべくブラッシュアップをはかっていく。 2つ目は,各年度から大きな課題として残っている「コールレート翌々日物(Tomorrow Next)」の価格がつかない(取引がない)営業日の扱いについて考察した上で,何らかの金融政策変数を作成し,これまで勘案してきた「外的要因」が株式市場に与えている影響も考慮する形で,金融政策が株式市場に与える影響について考察していく。おそらくは,取引がないことにも重要な情報があると判断し,ダミー変数等でコントロールした上で分析を進めていくことになる。 研究計画の延長が認められたことにより,来年度(2023年度)が研究最終年になるので,東京証券取引所の改革等,金融政策が株式市場に与える外的要因については他にも分析すべき課題はあるが,2023年度は上記2つの課題を克服することを最優先に本研究課題を進めていく。
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