研究課題/領域番号 |
19K01758
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 東京経済大学 |
研究代表者 |
吉田 靖 東京経済大学, 経営学部, 教授 (10383192)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 予測可能性 / 観測頻度 / 米国株式市場 / 米国コモディティ市場 / 高頻度データ / ETF市場 / 株価指数先物 / SIML法 / 市場流動性 / ボラティリティー / イベント・スタディー / 伝染効果 / 非同期時系列データ / 先行遅行関係分析 / 流動性指標 / 東日本大震災 / 株式デリバティブ / ETF / 注文不均衡 / マーケットインパクト / 金融証券市場 / 流動性 / マーケット・マイクロストラクチャー / 価格発見 |
研究開始時の研究の概要 |
証券市場の経済学的に最も重要な役割は価格発見機能と流動性提供機能であり、マーケット・マイクロストラクチャー研究の主たる対象である。この市場機能を評価するための指標は複数存在しているものの、この2機能を積極的に同時に扱った研究は少ない。特に情報による価値の変動と、個別注文による価格変動を考慮できる指標が必要である。このため、まず、株価指数に連動する先物や投資信託等の注文・約定データからなる高頻度データにより市場の評価指標の特性を検証する。さらに東日本大震災など本源的価値の不確実性が高まった期間の検証を行い、より望ましい市場機能の評価指標を選択・提案する。
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研究実績の概要 |
2010年3月17日から2022年9月16日までの日本国内の株式指数であるS&Pグローバル総合指数の日本株式トータルリターン(グロス)、米国の代表的株式指数であるSP500およびその円ベース指数のトータルリターン(グロス)の変動特性をS&P GSCI商品指数トータルリターンの系列として発表されている各指数と比較した研究を行い、両指数の観測頻度により、Lo and MacKinlay(1988) のVariance Ratio Testにワイルド・ブートストラップを適用したKim(2006)の方法による予測可能性の検証結果では特性の違いが見いだされた。 すなわち、予測可能性についてコモディティ指数に関しては有意水準5%で帰無仮説を棄却できるものはなく、GSCI豪ドルの2期のみが有意水準10%で有意であり、予測が困難であることが示唆されている。一方で、株式指数に関しても総じて帰無仮説を棄却できないが、SP500およびSP500円の2期は有意水準5%では有意となっており、コモディティ指数に比べて予測可能性がある程度存在することを示唆する結果となっている。 しかし、より長期の観測頻度においては,株式指数よりもコモディティ指数に関して、予測がある程度可能であることが示唆されている。 このように、アセットクラスにより、異なる統計的特性が存在することが明らかになった。 そのほかにもTOPIX配当込み、MSCIの日本を除くACWI配当込みGROSS円換算、NOMURA-BPI除くMBS、日本と中国を除くWGBI(FTSE World Government Bond Index)円建て指数 も用いたが、検証結果の公表ためのデータ利用許諾に時間が必要なことから、公表論文に含めることを見送った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍対策を伴った学会の全国大会の実行委員長を務めたため想定以上に時間が掛かったため。 図書館の契約によるデータベースを使用したところ、研究目的による使用であっても、情報提供元による許諾が改めて必要であることが判明し、その確認のために情報ベンダー側で時間が掛かったため。 2月から3月の間、大学の事務による海外送金ができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
現実のファイナンスデータは多くの銘柄が存在する上に、ミリ秒単位などの非常に短い時間単位の高頻度データで、注文や約定データの時間間隔は一定ではなく、価格変動も連続 ではない。さらに、プリミティブなモデルではブラック・ショールズ・モデルのように幾何ブラウン運動で企業価値の変動を近似しているが、理論モデルと現実の変動とはスマイル現象などの乖離が見られ、その要因の一つがジャンプの存在である。ジャンプのうち頻度が比較的多く、ジャンプの程度があまり大きくないミクロジャンプと、市場全体や経済の変動においてまれに大きな変動として観察されるマクロジャンプを整合的に理解し、さらにモデルを構成する変数の次元が高い場合の統計的計測方法を日米の高頻度の市場データにより検証する。
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