研究課題/領域番号 |
19K01766
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
大森 孝造 大阪経済大学, 経営学部, 教授 (80779348)
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研究分担者 |
北村 智紀 東北学院大学, 経営学部, 教授 (80538041)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 投資信託 / 投資家行動 / パフォーマンス評価 / 資金フロー / 投資情報 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、「投資家がどのように投資信託のパフォーマンス実績を評価するのか」について従来よりも詳細な分析を行うものである。今後、公的年金の給付水準の低下が予想される下、自助努力による資産形成の促進は重要な政策課題である。投資信託はそのための金融商品として期待され環境整備も進められているが、その成長は未だ十分とはいえない。そこで、本研究は、投資家行動の理解を深めて、投資信託による資産形成を促すための施策改善に貢献することを目指す。分析は、個別投信毎にパフォーマンスを市場リターンと運用会社固有のものに分解したうえで資金フローとの関係を推定するといった新たなアプローチをとる。
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研究実績の概要 |
本研究は,「投資家がどのように投資信託の過去のパフォーマンスを評価するのか」について従来よりも詳細な分析を行うものである.2023年度は,2022年度までの研究結果を学会等で発表し,国際ジャーナルに投稿した2本目の論文が受理され掲載された. 本研究の前半では,日本の投信投資家は,ファンドのパフォーマンスのうち市場要因では説明できないマネージャー独自のαに反応していることを確認している.これは米国における先行研究とは異なって,日本の投資家が洗練されているとの結果であり,2021年11月,査読付き国際学術誌に掲載済である. 以降はその実態についてより詳細な分析を進めてきた.上記の結果をもたらしている要因の候補として,①特に米国にて影響が強いことが報告されているファンド・レーティング,②同様に投資家が入手しやすい情報としてファンド・カテゴリー,③目立つ特に大きな過去リターン,④先行研究にて指摘されている統計処理のバイアス,を検証した.その結果,これらだけでは先の結果を説明できないことが明らかになった.さらに,個別ファンドの動きを調べた結果,ほとんどの資金フローは過去のパフォーマンスに反応しない一方で,リターンが高い一部のファンドに急激に資金が集中する現象がみられ,それがαとフローの関係の背景にあることがわかった.これらの結果を論文にまとめ,2023年度は学会発表と2本目の論文投稿を行った. このように現象として極端なフローが本邦固有のものであることはわかったものの,その背景を理解する必要がある.そこで,2023年度後半では,より詳細かつ最近までのデータを購入し,より細分化したファンド属性との関係についての分析に着手した.そのため,本研究は2023年度が最後の予定であったが,1年間の延長を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本邦の株式アクティブ投信の投資家評価について,先行研究の結果に沿ったいくつかの結果を確認すると共に本邦独自の結果を得ており,2本の論文として発表済である.さらに,追加の課題としてそうした現象の背景について新たな分析を進めている.これらより,おおむね順調といえる.
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今後の研究の推進方策 |
当研究では,本邦の投資家行動を理解することが目的である.これまでの活動により,国内株式アクティブ投信については投資家が優れたリスク評価を行っているように見えるものの,それは一部ファンドへの資金集中のためであって,多くは無反応であることがわかっている.これは先行研究結果と整合的であるが,販売会社やファンド情報の影響の重要性も指摘できる. そこで,資金集中の発生とファンド属性との関係や販売会社の行動について分析を進め,背景にある要因を探る予定である.また,分析対象を日本株式以外のアクティブファンドに拡張する.なお,これまでと同様,内外の学会における発表や研究会への参加は引き続き積極的に行う予定である.
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