研究課題/領域番号 |
19K01779
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
藤村 聡 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (00346248)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 経済史 / 企業史 / 商社 / 学歴 / 不祥事 / 人事政策 / 賃金構造 / 内部不祥事 / 規律違反 / 経営史 / 高等教育 / 内部統制 / 学歴格差 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで戦前期商社の人事システムを分析し、従業員の過半を学卒者(高等教育修了者)が占める人員構成や、処遇における学歴格差の稀薄さという特徴を発見した。その原因として従業員による内部不祥事に注目し、明治36年~第2次大戦期の三井物産の社報を検討した結果、不祥事には学歴による偏りが存在し、学卒者の規律意識の強さが明らかになった。今回の課題では三井物産の明治創業期~大正初年の重役会議事録を分析すると共に、件数は少ないものの長文の報告書が残る兼松や、従業員の不祥事によって突然に経営破綻した古河商事のケースも加えて、不祥事が経営組織に及ぼした負のインパクトの実態などを解明したい。
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研究実績の概要 |
コロナ禍を経て、本年度は従来の8割程度まで史料調査を再開できた。ただし都立中央図書館などは利用人数や時間に制限が設けられ(現在は解除)、従前のように完全に旧に復したとは言えない状況にあった。そのため本年度は引き続き、三井物産の史料を所蔵する三井文庫の調査及びその史料の分析に傾注した。 三井物産の『職員録』や『社報』(処罰に関する辞令を掲載する)は、すでに全点を採集済みであったものの、『社報』は明治後期から作成されたので明治前中期の内部不祥事は不明であり、また『社報』は処罰の辞令を数行で掲載するだけで実際に何があったのかという内実が曖昧な事例は少なくない。しかし明治前期から後期まで残る重役会議録では、処罰の全点であるか否かは確認できないという欠点はあるものの、社則の違反行為や不祥事(解雇事案)に関する詳細な報告書を掲載しており、実態が詳しく判明するという利点を持っている。史料の名称は年によって『元方評議』『重役会議録』『重役会議往復状』『理事会議按』『管理部会議案』と異なるものの、明治10年代から同40年頃まで連続的に約40点が残り(以後の同種の文書は性格が変化している)、それらを全点通読して関連記事をすべて採集し、併せて明治~大正期の社則集を渉猟した。 こうした史料調査を踏まえて、本年度は「戦前期の三井物産における横領事案とその対応」(『国民経済雑誌』第228巻2号)と題した論文を作成し、考察の成果をまとめた。本論文は不祥事の代表的事例というべき従業員による横領行為に対象を絞り、その時期的な変化を明らかにしている。たとえば明治前期には横領の処罰は月給の没収で済まされて解雇に直結するようになったのは中期以降であったほか、内部監査の部署の変遷や、横領の予防的措置であった「身元保証金」の実効性は乏しかったことなどが判明した。
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