研究課題/領域番号 |
19K01786
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 大正大学 |
研究代表者 |
松本 洋幸 大正大学, 文学部, 教授 (30757993)
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研究分担者 |
竹内 祐介 東京都立大学, 経営学研究科, 准教授 (30711238)
太田 仙一 飯田市歴史研究所, 研究部, 調査研究員 (60826147)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 有吉義弥 / 国際海運 / 日本郵船 / 三井ファイト / 海運同盟 / コンテナリゼーション / BIAC / 有吉忠一 / 1950年代 / 高度経済成長期 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本最大の海運会社・日本郵船株式会社の幹部であった有吉義弥の残した資料を通して、1950~1970年代の日本海運の動向を具体的に明らかにするものである。 同資料は、有吉がつけていた日記をはじめ、スクラップブック、随筆や講演の原稿など約1000点にのぼり、1950~70年代の国際海運と日本海運の双方を見渡すことのできる貴重な一次資料である。現在横浜開港資料館が保管しているが、未公開の状態である。 本研究では、同資料の資料整理を行い、研究者や一般市民が利用できるような目録・データベースを整備する。加えて有吉の日記を中心に資料の解読を進め、戦後日本の海運界の急成長の要因を具体的に解明する。
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研究実績の概要 |
1.横浜開港資料館所蔵「有吉義弥」関係文書について、目録の再整備を行うとともに、貴重な情報を含む「船主会議等記録」などを撮影した(2024年2月28日・2月29日・3月20日・3月22日)。撮影史料は船主会議記録1~72および147~197(当該資料の約2/3)に及ぶ。
2.戦後日本海運を研究する上で重要な基礎資料の調査を行った。具体的には以下の通り。①神戸市立中央図書館「松本一郎関係文書」(2023年9月9日および2024年2月12日)②神戸大学附属図書館海事分館所蔵の『ゆうせん』ほか各海運会社の社内報やコンテナ関連資料(2023年9月8日および2024年2月13日・14日)③フェリス女学院大学大学史史料室(2023年8月1日)④九州歴史資料館所蔵の「杤木商事資料(戦時海運関連資料)」(2024年3月24日)
3.関係者間で必要な打合せを行い、史料調査の結果や情報の共有などを行った(2023年9月19日および2024年1月11日・1月29日・3月22日)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020~2022年度はコロナ禍での各所蔵施設の利用制限等で、関連資料の調査がやや遅れていたが、今期は「有吉義弥関係文書」の撮影や、関連資料の調査等で一程度の成果が得られてたと考えている。今後、これらを精査しながら、各自の研究テーマを深めていくこととしたい。
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今後の研究の推進方策 |
今後、以下のようなテーマを軸に研究を深めていきたいと考えている。 1.戦後日本における国際海運の再建過程 研究分担者太田仙一が中心となって進める。具体的には1954年前後に起こった「三井ファイト」と呼ばれる事件などを中心に、独立回復後の日本海運が国際海運に復帰・定着していく過程を研究する。とくに「有吉義弥文書」中の「船主会議記録等」などの一次資料を詳細に分析することに主眼を置く。 2.1960年代の流通革命とコンテナリゼーション 研究分担者竹内祐介が中心となって進める。具体的には1960年代半ばに起こった世界的なコンテナ化の動きに対して、日本の海運界は如何に対応したのか、またそれが国内の港湾整備や流通組織にどのような影響を与えたのかなどについて、「有吉義弥関係文書」のみならず関連資料を複合的に分析する。 3.「国際的」経済人の果たした役割 松本洋幸が中心になって進める。1970~80年代において、グローバル経済のなかで日本は世界的な役割を求められるようになる。こうしたなかで、BIACの会長などをつとめた有吉義弥が果たした役割などを考えていきたい。具体的には「有吉義弥関係文書」の「船主会議記録」や講演原稿、さらには雑誌記事などを検討するとともに、他の経済人との比較検証を行っていく。 4.有吉義弥の人物誌的研究 本研究の軸となる「有吉義弥関係文書」を理解する上で、戦前~戦後直後の義弥の活動、父・有吉忠一やその親族・関係者を含めた人物誌的研究に取り組んでいく。 5.撮影した船主会議資料と、同資料を日本郵船によって翻刻印字したものと想定されている「日記」を対照し、資料論的検討を行う。有吉が残した詳細な記録が、日本郵船という企業の中でどのような意義を持っていたのかを検討したい
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