研究課題/領域番号 |
19K01789
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
榎 一江 法政大学, 大原社会問題研究所, 教授 (90466813)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 製糸業 / 寄宿舎 / 富岡製糸場 / 生糸 / 女性労働 / 寄宿舎制度 / 1968年 / 労働史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、国際的な労働史研究の新潮流を踏まえ、近代日本の女性労働史を再検討する。具体的には、近代日本の経済発展を底辺で支えた製糸業に焦点を当て、多くの女性労働者を雇用し続けた製糸工場の経営資料を長期にわたり分析することを通して、女性労働環境の歴史的変遷を明らかにする。対象となるのは、1872年に官営模範工場として開業した富岡製糸場である。富岡製糸場は、民間に払い下げられたのちも存続し、1987年に操業を停止した。この115年におよぶ労働環境の変遷を実証的に明らかにし、女性労働環境の変容に関する考察を深めることによって、日本の製糸労働史をグローバル・レイバーヒストリーに位置付けることを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、富岡製糸場の女性労働を通して、日本の女性労働の歴史を世界史的に位置づけなおす試みである。本年度は、富岡製糸場の開業150年にあたるため、記念イベント等で研究成果を報告する機会に恵まれた。群馬県では、富岡製糸場世界遺産伝道師協会総会(6月18日、前橋市)、富岡製糸場開業150年記念シンポジウム(10月2日、富岡市)において、100年を超えて稼働した富岡製糸場を事例に女性労働史研究を行う意義について報告を行った。 また、世界経済史会議(WEHC2022、7月29日、パリ)においては、パネル(Silk : trade, production and skill in an Eurasian perspective from the Seventeenth to the mid Twentieth century)に参加し、富岡製糸場を事例に近代日本の工業化における女性労働の意義について再考を促す報告を行った。この成果は、23年度に英語の学術書として刊行される予定である。 この研究の一部は、Association for Asian Studies 2023 Annual Conference(3月18日、ボストン)のパネル" Formations of Gendered Labor in Postwar Japan: Perspectives from Cultural Studies, Economic History, and Labor Studies"にも反映され、ここでは1960年代の富岡製糸場の寄宿舎生活に焦点を当てた報告を行った。 創立期の官営富岡製糸場の女性労働をめぐっては、日本資本主義論争における女性の不在を論じた「『女性』の不在と『惨苦の茅屋』--嵌入する外部」を法政大学大原社会問題研究所/長原豊+ギャヴィン・ウォーカー編著『「論争」の文体--日本資本主義と統治装置』法政大学出版局、2023年に寄稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症の蔓延により2年延期されていた国際学会が開催され、計画通り22年度に学会報告をすることができたが、この成果をまとめた本の出版が23年度に予定されており、引き続き研究を継続しなければならなくなったため。
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今後の研究の推進方策 |
WEHC2022のSilkセッション参加者を中心に、最終的な研究成果を23年度に出版することになったため、夏までに英語の草稿を作成し、11月に国際会議を開催して更なる検討・書き直しを行う計画で研究を進める。ここでは、日本の労働集約的工業化において、女性労働の果たした役割を製糸業を事例に論じる予定であるが、世界史的な意義づけが必要となるため、更なる文献収集と検討を行う。
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