研究課題/領域番号 |
19K01792
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
中野 忠 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 名誉教授 (90090208)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | ロンドン市財政 / 国家財政 / ローン / 王政復古期 / 名誉革命 / イングランド銀行 / 孤児法 / 金匠銀行家 / ロンドン財務室 / 王室ローン / ロンドン市会計簿 / 大火 / 党派抗争 / 孤児預託金 / ロンドン市 / 自治体財政 / 対政府貸付 / 利子 / 税収 / ロンドン市文書館 / 政府財政 / 貸付 / 課税 / 金融革命 / 王政復古 / 貸付け |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ロンドン市の財政に関する研究の一部をなすものであり、ロンドン市財務室(金庫)と収入役に関する未刊行の資料を用いて、この時期のロンドン市と王権・政府との貸借関係を個別的、実証的に明らかにする。王政復古期を通じて、ロンドン市とその財政組織は、前期ステュアート朝期に劣らず王国の財政にとって重要な役割を果たしてきた。本研究は、名誉革命の革新性を強調する制度学派的な見方とは異なって、基本的には、王政復古、さらにはそれ以前の時代からの連続性、漸進性と独自性に注目する。さらにロンドンの事例を参考に、この時代の国家と都市自治体のあり方について見逃されてきた論点と証拠を提供する。
|
研究成果の概要 |
ロンドン市の文書館に残されている資料を用いて、王政復古期から名誉革命直後までの時代に、ロンドン市が貸付(ローン)を通じて王国の財政にどのように関わってきたかを明らかにする。王政復古直後には貸付金は課税の形式を踏襲して徴集されたが、ロンドン市の財務室や王国の財務機構の改善によって貸付の手続きが整備されるにつれて、国家への貸付は安全となり、利子を目的とする投資家の資金運用方法の一つとなった。ただし、王国にとって貸付金(公債)の必要性は、王国財政の状態ばかりでなく、王権とロンドン市民の関係、ロンドン市民間の党派抗争、諸外国との外交上・貿易上の関係などの諸々の要因の変化により大きく左右された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
イギリスにおける国債制度は立憲君主体制を確立した名誉革命の後、先行するオランダの制度や人材を導入しながら確立したとされる。本研究の目的の一つは、実証的観点からこの通説への再考を促すことにある。 王政復古期に、財務府の諸機能には改革が試みられ、ロンドン市の財政を扱う財務室は国庫の機能の一部を担うことがあった。こうした状況のもとで、政府の借款は国税を担保として利子の支払いや元本の償還が行われるのが通例化した。政府の借款の必要性は財政状態だけでなく、ロンドン市の財政事情、内外の政治的な要因などにより左右されたが、国債制度を支える慣行は名誉革命以前にすでに実質的に形成されていた。
|