研究課題/領域番号 |
19K01793
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
松村 敏 神奈川大学, 経済学部, 教授 (60173879)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 大名華族 / 資産家 / 大藩家老 / 資産運用 / 家老華族 / 前田侯爵家 / 毛利公爵家 / 武家華族 / 華族資産家 / 華族 / 大藩大名華族 / 資産形成 / 投資 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,近代における旧加賀藩関係の武家華族について,その資産形成過程と,投資の性格を、各家の家政史料をもとに分析する。加賀藩は近世最大の大藩であり,旧藩主前田侯爵家は近代日本有数の大資産家に成長した。また旧有力家老の横山男爵家は,明治期に鉱山開発に成功し,従来の研究では,大正期頃にはこれまた大藩大名華族並みの大資産家に成長したとされている。本研究は,この両家を中心に,近代の成長過程を実証的に分析し,これまで「資本」という視点でしか分析されなかった「皇室の藩屏」たる華族資産家とは何かについて見直し,近代天皇制国家の理解に示唆を提供したい。
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研究成果の概要 |
加賀前田家・加賀横山家・長州毛利家を中心に、明治期から昭和戦前期を対象として、一次史料の収集とそれに基づいた分析を行った。研究結果を一言でいえば、同じく旧大藩大名華族でも、毛利と前田はまったく異なる性格を有していた。そしてそれは両家とも、前近代以来有していた性格であった。他方、横山家は旧大名ではなかったため、これまた前田や毛利などとはまったく異なった性格を有していた。すなわち制約が少なく、自由な企業家活動が可能であり、企業家精神旺盛な同家は、武家華族としてはきわめて珍しいリスクをとった事業展開をみせた。また華族が昭和金融恐慌で大打撃を被ったという通説はでたらめであることなどもわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
(1)近代日本の経済発展とりわけ地域経済にとって、大名華族のあり方は、かなり重要であった。しかもそのあり方は各家の数百年におよぶ歴史がその背景にあった。近現代の地域経済や各地の産業・教育などのあり方を理解するには、旧大名らの戦国時代以来の歴史についての理解が重要になる場合が少なくない (2)歴史の展開には必然もあろうが、偶然もある。マルクス史観をはじめとして歴史の必然が強調されることが多いが、もし(家臣団を含めた)毛利家の、前田家との好対照の、家臣らに対する藩主の相対的な弱さ、リスクをいとわない体質などがなければ、幕末維新期さらには日本の近代は、相当様相が異なったはずである。
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