研究課題/領域番号 |
19K01802
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
阿部 智和 北海道大学, 経済学研究院, 准教授 (20452857)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 経営組織論 / コワーキング / コミュニケーション / イノベーション / ワークプレイス・デザイン / 共有・共創空間 / 事業戦略 / 経営戦略論 / ワーク・プレイス / ビジネスモデル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の概要は以下の通りである.第1にコワーキング・スペースのデザインとユーザー・運営者のイノベーション創出活動を定量・定性手法を用い解明する.第2に,各スペースの特徴の比較を通じて,スペースのデザインと利用者行動に関する一般性の高いモデルを導出する.第3にビジネスモデル研究と戦略形成過程の研究を援用し,利用者の協働からイノベーションが創出され,持続的収益を生むビジネスモデルの確立に至る意思決定過程を定性的分析により解明する.これらの作業を通じて,近年注目を集めている,共有・共創空間における組織活動の成果,および影響要因を明らかにする.
|
研究実績の概要 |
2023年度に実施したことは以下の3点に集約される.一部は,この研究課題を基盤とした関連課題,国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))の実績と重複する. 1.2023年度末に,コワーキングスペースの特徴および空間に対する愛着,利用者行動(特に継続的な利用)に関する質問票調査を実施した.この調査では,コワーキングスペースでのコミュニティ形成に影響を与えうる要因の探索を目指した.その理由は,コワーキングスペースの特徴として,コミュニティが指摘されるものの,それをいかに形成し,維持するのか,という点は必ずしも十分には解明されていないことにある.スペース内のユーザー・コミュニティの実態を理解することで,本研究課題全体の狙いである,スペース内での共有・協働を通じた,利用者個人の成果(例:ビジネスモデルの確立)に至る経路を詳細に把握することが期待できる. 2.国内外の研究動向を把握するため,コワーキングスペース(や同様の機能を持つスペース)や利用者に関する研究論文のレビュー作業を進めた.日本国内の研究は,論文や学会報告要旨など対象とし,その内容を精査したのちに,約80本をもとにレビュー論文の執筆作業を進めた.特に未着手であった,建築学系の研究のレビューに注力した.これらの作業から,開設状況,スペースの設計,個別事例の検討などが中心であることを特定した.海外の研究は,Web of Scienceを用い,論文の絞り込みを行った.リモートワークなど働き方に関する論文も対象に含め,300本強の論文を対象にレビュー作業を現在も進めている.これらについては,2024年度中に成果を公表する. 3.ビジネスモデルを確立するプロセスをより詳細に理解するため,ビジネスモデル変革を遂げた企業を対象として,主に社内会議録の調査を行った.また,ビジネスモデルの変化を対象とした論文が『組織科学』に掲載された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の進捗状況が「やや遅れている」と判断した理由は以下のとおりである. 1.収集済みのデータ(コワーキングスペースの利用者の知識共有と創造性)について,論文の完成に至らず,投稿に至っていない.また,数年前に収集したデータ(スペースの運営戦略などと成果の関係)に関連する論文のプロジェクトも実質的に中断・停滞状況となっている.これらの遅延により,本研究課題の重要なパートの一部が完了しているとは言えない状況にある. 2.ワークプレイスに関するレビュー論文および書籍,コワーキングスペースやコワーキングに関する国内外の研究のレビュー論文についても完了していない状況にある. これらは,本研究課題にとって中核的な作業であり,それらが完了していないことから,進捗状況は「やや遅れている」と判断した.
|
今後の研究の推進方策 |
期間延長が認められたため,最終年度にあたる2024年度に,以下の作業を行い,本研究課題の計画達成を目指す. 1.分析作業を終えた2つの論文およびデータ収集を2023年度末にデータ収集を完了させた論文について,インパクト・ファクター付き国際ジャーナルに投稿し,採択されることを目指す.このほか,スペースの運営戦略などと成果の関係に関する研究など,未投稿の論文の公開を順次進める. 2.ワークプレイスについて国内外の研究や調査を渉猟し,ワークプレイスの歴史や研究知見を体系的に整理したレビュー論文,および,一般向け書籍の執筆を前年度に引き続き進める.また,日本国内で行われたコワーキングスペースやその利用者に関するレビュー論文を完成させ,国内の学会誌に投稿する.これらをもとに,コワーキングスペースの特徴(空間の物理的特徴やコミュニティなどの社会的な特徴)と利用者行動,成果(特にビジネスモデルの創出)の関係を明らかにする分析モデルを構築する.なお,2023年度中に,スペースの特徴と利用者行動の関係については仮説構築とデータ収集まで進展したため,利用者行動と成果の関係解明に特に注力する.そのうえで,上記レビュー論文や書籍を完成させ,利用者行動と成果に関する実証研究も行う. 3.本研究課題の関連課題である国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))との連動を進め,海外の研究者と共同研究プロジェクトをより具体化させ,年度内にデータ収集を終える.これにより,本研究課題の未着手の課題(利用者行動と成果)の関係がより明確に理解できると思われる.
|