研究課題/領域番号 |
19K01806
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
吉澤 康代 香川大学, 地域マネジメント研究科, 准教授 (60567379)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 定年退職 / 再雇用 / 心理的適応 / M-GTA / 補償を伴う選択的最適化理論 / ワークモチベーション / キャリア後期 / 定年後再雇用 / 60代 / 修正版グラウンデッドセオリーアプローチ / 高年齢者 / 人材マネジメント |
研究開始時の研究の概要 |
ワークモチベーションの既存理論は「若年成人」をベースに構築され、少子高齢化及び労働力の高齢化によって長期化するキャリア後期のワークモチベーションを説明するのに限界がある。従来の人材マネジメントは、組織内競争原理を前提とした優秀人材の採用・育成・選抜を議論してきたが、キャリア後期には組織内競争原理に乗らない高年齢者が増加する。
本研究は、このような高年齢者として「役職に就かない層」「ポストオフで役職から降りる層」「定年後に働き続ける層」を対象に定性調査を行い、ワークモチベーションのプロセス及びメカニズムのモデル化を試み、高年齢者が自らワークモチベーション向上に取り組めるための施策を検討する。
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研究実績の概要 |
2022年度は、60代調査で得られたデータについて、2021年度の予備的分析結果を拡張する形で、M-GTA(修正版グラウンデッドセオリーアプローチ)を用いた分析を完了させ、再雇用者の定年前後及び再雇用における経験と心理的適応についての「概念」「結果図」を完成させた。その結果、定年前後及び再雇用における経験と心理的適応は「1.定年後の再雇用を意識する」「2.50代での新たな仕事、職場、ポストオフなどから立ち直る」「3.再雇用後に役割獲得し前向きになる(役割獲得するが退職意向を示す)」「4.60歳以降のアンバランスさを解消する」のフェースに整理することができた。
2021年度の予備的分析結果は「定年後再雇用と60代のワークモチベーション維持・向上―MAXQDAを用いたM‐GTAの試み―(吉澤、2022)」としてまとめた。定年前後及び再雇用における経験と心理的適応のフェースについては、「定年後再雇用とワークモチベーション―定年後再雇用を経験した60代前半調査からの考察―(吉澤、竹内、宮地、富田、2022)」として学会発表を行った。
これらの分析結果を「補償を伴う選択的最適化理論」から考察すると、本調査における再雇用者は、自身の能力や体力の低下による「資源や機能(発揮)の喪失」ではなく、外的環境(会社からの要請、ポストオフや再雇用の制度など)によって資源や機能(発揮)が制約された「喪失状態」に陥っており、資源の喪失によって「資源を集中する目標を選ぶ」のではなく、資源の発揮が制約される喪失状態によって「発揮の目標や方法を変更する」という調整を行っていると言える。また、目標や方法の変更は(1)上司や職場が期待している仕事・役割(サポート役、後進指導、会社への恩返し・貢献意欲)、(2)定年後の仕事や職場、(3)新たなチャレンジ、学び直し、に向けられていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の拡大によって、オンラインでの活動(打ち合わせ、会議、研究会など)が普及し、当初計画していた出張旅費が支出されていない。定性調査のデータ分析を効率・効果的に実施するために分析ソフトウエアの導入に努めたが、想定した効果を得るにも時間を要してしまった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究最終年度として、これまでの定性研究で得たモデル(結果図)の一般化を目指した定量調査を実施する。また、日本の再雇用と類似した海外の現象として「Bridge Employment(ブリッジ雇用)」について近年の動向及び研究成果を整理し、本研究の成果と比較検討を行い、海外への情報発信を試みる。
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