研究課題/領域番号 |
19K01861
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
近廣 昌志 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (60644466)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 預貸率低下 / 貨幣制度 / 国家貨幣 / 地方銀行の貸出残高と預金残高 / 第二地方銀行の貸出残高と預金残高 / 信用金庫の貸出残高と預金残高 / 信用組合の貸出残高と預金残高 / 北欧諸国の預貸率 / クロスボーダー銀行業務 / 人口構成 / 新規貸出先の戦力的開拓 / 地方銀行経営 / フィンテック / 内生的貨幣供給理論 / 国債消化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は銀行経営モデルのうち特に地方銀行の新しい収益構造モデルを探求することにある。日本の預貸率が約62%まで急落しており,このままでは金融不安発生をもたらすため社会的に避けなければならない重大な課題の一つである。 本研究では,①量的緩和政策の恒常化,②キャッシュレス化,③フィンテックによる他業種参入,この3点を外部環境とし,預貸率低下の解消を実現させるための収益構造モデルについて他国の成功例を日本のパラメータで組み直してベストミックスを導出する。 本研究の特徴は,預貸率の上昇に成功しているスカンジナビア諸国を研究対象にする点,内生的貨幣供給理論をベースに進める点,この2点にある。
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研究成果の概要 |
地方銀行の経営課題,預貸率の低下の観点から銀行経営の最適化について研究を行った。問題に対する主たる要因は,いまだ営業の実態が預金獲得を主軸とする旧態依然の営業方針と,貨幣発行に関わる理論的解釈が個別銀行では正しく判断できていないことが改めて確認できた。優良で適切な貸出先が見つけられないことが要因ではない。 本研究では,日本の預貸率の変動を,スカンジナビア諸国との対比によって行い,マクロベースでの財政支出と銀行機能の関わりが有意な要因の際であることが示された。日本の銀行は国債消化への関りが大きく,地方経済の衰退というよりは財政赤字への協力によって預貸率の低下が引き起こされることが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
地方銀行の経営環境の悪化に対応するための理論分析を行った研究である。銀行システムがおかれている環境,特にマクロ環境の変化の要因分析に注力した。 具体的には預貸率低下のマクロ環境の対比を,スカンジナビア諸国との国際比較により,日本の環境悪化の要因が,政府債務の増大に伴う銀行システムによる政府債務の消化ないし引き受けに要因が認められることを明らかにした。 これは社会の高齢化や地方産業の衰退に要因を求める一般論とは異なり,貨幣供給能力を有する地方銀行を含む銀行システムが政府債務を引き受けることで預貸率が事後的に低下する現象のメカニズムを明らかにした。
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