研究課題/領域番号 |
19K01873
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
|
研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
稲垣 京輔 法政大学, 経営学部, 教授 (10327140)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | プロデューサー / イノベーター / 新事業創造 / 海外進出戦略 / ファミリー企業 / プロデユーサー / 日本酒 / 食のイノベーション / 価値評価研究 / 企業家活動 / フランス / オートキュイジン / 知識ブローカー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本酒のフランス市場への進出プロセスを中心的な課題としながら、経営学とりわけ、起業家活動の視点から価値体系の変化とマネジメントについて考察する。近年、食に関わる分野は文化産業の一部として捉えられ、文化的な生産物の創造的な再生産のプロセスとして食文化の変化を記述し、その過程におけるイノベーターとしてのシェフの役割に着目されてきた。本研究では、食に関わる主体をより広義に設定し、業種を超えた人の出会いの場を設定し、知識の創造・変容・普及をおこなうプロデューサーの役割と実践を調査することで、多元的なロジックのもとでおこなわれる主体の実践とそのダイナミックな変化を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
2022年度においては、国際経営論、ファミリービジネス論などの先行研究を整理することによって、中小企業の国際化、事業創造に関するレビューを行い、フィールド調査に向けて新たな視点を盛り込む形で、調査の対象やヒアリング内容について修正を施した。調査の方法を改めることによって、滋賀、京都、兵庫などの主に関西地域での酒蔵メーカー7社に対してヒアリング調査を再開した。酒蔵のイノベーション、事業の承継、地域に対する貢献についての聞き取り調査を行なった。また、コークで開催された第17回EIASM WORKSHOP ON FAMILY FIRM MANAGEMENT RESEARCHにオブザーバー参加し、ファミリー企業研究に関する知見を得た。 ヒアリング調査結果についてはコーディングをおこない、ファミリー企業における企業家活動がいかに継続的に行われてきたかについて分析を行った。調査の成果報告に関しては、中間成果物としてとりまとめ、パリ第7大学で開催された定例研究会において研究報告をおこなった。本研究では、酒蔵メーカーが継続的に行ってきた新事業の創造については、地域におけるステークホルダーとの関係が不可欠で、長期的な世代交代においても、信用が受け継がれていくことが明らかになった。この研究仮説は、ファミリー企業の永続性やファミリーアントレプレナーシップの研究領域にも重要な示唆を与えうるものであり、今後、より他の多くの事例でも検証されるように、調査を継続する予定である。また、これらの研究成果については、Entrepreneurship and regional developmentなどの国際ジャーナルに投稿に向けた準備をおこなう予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の成果に関しては、パリ第7ディドロ大学(Universite de Paris Diderot)のジュリアン・マーチン准教授との共著「多角的な価値査定とヘテラルキーの生成:フランス市場における日本酒の普及プロセス」を日本情報経営学会において、価値評価研究というテーマで特集された学会誌に寄稿した。これまで、越境起業家研究、組織学習論、知識創造論、国際経営論などの先行研究を整理することで多角的な分析視角からレビューしつつも、さらに具体的なフィールドワークに合わせたリサーチメソッドの整理と修正をおこなった。とりわけ価値評価研究に関する先行研究論文をレビューし直し、本研究における分析フレームワークを導出した。 しかしながら、3年間に及ぶ感染症蔓延にともなう渡航禁止、人流抑制のために、本研究に必要な調査を行うことができなかった。そのため、十分なデータを有しておらず、研究成果は2020年度をもって一旦、ストップしたままである。2022年度においても、4月から予定されていたフィールドワークのほとんどがペンディングの状況が続いていたが、主に関西における酒蔵での調査を再開した。調査対象の変更や調査スケジュール、論文執筆の見直しを検討し、予定を繰下げて、調査研究をおこなっている。調査成果は、ケースとして大学のワーキングペーパーにまとめる予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
感染症の流行のためにペンディングとなっていたフィールド調査を再開し、酒蔵メーカー、異業種交流を支援するネットワーク組織など、日本酒のサプライ チェーンを中心に連携を促進する組織の行動について聞き取り調査を継続的におこなう。 研究成果について、最終年度においては、国内のフィールドワークから導出された成果報告を、国内の学会(ベンチャー学会、企業家研究フォーラムのいずれ か)にておこないEIASMなどの欧州系学会やワークショップにおいてフル・ペーパーを執筆の上で、学会報告に臨む予定である。これらの成果物はワーキングペーパーとして学内に積しつつ、本テーマに近い分野を専門に扱うEntrepreneurship & Regional Development、あるいはRegional Studiesなどに投稿を検討する予定である。
|