研究課題/領域番号 |
19K01899
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
長島 直樹 東洋大学, 経営学部, 教授 (10732779)
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研究分担者 |
長島 芳枝 大東文化大学, 経営学部, 教授 (10572026)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 顧客満足 / 期待不一致 / サービス消費 / マーケティング知識 / 海外進出 / 新興国 / サービス / 経験知 / 共分散構造モデル / 確認的因子分析 / 意思決定 / 海外ビジネス進出 / サービス産業 / 消費者理解 / フィージビリティ・スタディ / インド / ベトナム |
研究開始時の研究の概要 |
日系サービス企業の新興国への進出が加速しているものの、製造業と比べ海外経験の少ない企業が多く、失敗・撤退の事例も多い。失敗の原因はマネジメント関連(現地パートナーとの不和、現地スタッフ教育の失敗、本社と現地法人の意思疎通不足)、もしくはマーケティング関連(現地消費者の理解不足など)と説明されることが多い。こうした説明は現象の理解として首肯できるものの、遠因として進出決定のあり方、特に意思決定プロセスに起因することが多いと考えられる。こうした問題意識に基づき、「事前情報を十分に活用しない理由」「意思決定そのものが曖昧になる理由」を中心に分析・検討し、日本企業への実務的示唆を提示したい。
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研究実績の概要 |
企業ヒアリングができなかったため、海外進出のカギとなるマーケティング知識、特に顧客満足構造に関するアンケートを実施、結果に基づく計量分析を実行した。研究背景は、①期待不一致仮説(消費に伴う満足度やサービス評価が、成果と期待の差に影響を受けるとする仮説)に関しては、1990年代のSERVQUAL・SERVPERF論争以来、決着がついたとは言えず、現在も理論・実証両面から統一的な見解がないこと、②分析結果に関するばらつきが見られると同時に、近年は顧客満足からロイヤルティへ研究の関心がシフトしたこと、の2点である。 上記を踏まえ、「何が分析結果の違いを生むのか」に関する分析・検討を行い、マーケティングやビジネス展開上の含意を検討するとともに、現在広く受容されている顧客満足度指数モデルに関する批判的検討を実施した。仮説は、①サービス体験の文脈(中でも消費の目的)が事前期待の役割に大きな影響を与える、②事前期待水準と期待不一致は別概念であり、それぞれが消費者満足に与える影響は異なる(状況ごとに異なる)。当仮説の下で計量分析を実施した。構成概念(顧客満足、知覚価値、知覚品質、知覚コスト、成果、期待水準、期待不一致)の構築、VIF, AIC等による定式化選択、及び統合モデル構築を試行した。 研究成果は以下の通りである。顧客満足度指数モデルの考え方に反し、「期待不一致」「顧客期待」はそれぞれ独立してCSに影響を及ぼしていることが示唆された。両者の影響度は、「期待不一致」は日常利用の場合、「顧客期待」は非日常利用の場合により強くCSに影響することも判明した。以上の分析結果は、顧客満足度指数モデルよりもリアリティのある代替モデルの可能性を示唆している。実務的観点からは、CSや期待不一致の単一質問項目による指標も有効とみられることがわかり、単純な調査の有効性も否定できないことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた企業ヒアリング(海外進出の際に利用する情報・知識に関する質問が中心)ができなかったため、急遽アンケート調査に変更した。また、アンケート調査で上記の内容を聞き出すことは不可能と判断し、調査内容も「顧客満足構造の特定(期待不一致仮説の検証)」に変更したため。
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今後の研究の推進方策 |
アンケート調査自体は終了し、データを得ることができた。また、調査結果に基づく大まかな分析は終了しているが、さらに「消費者属性や利用状況による構造の差異」を深掘りし、全体モデルを再検討することとする。
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