研究課題/領域番号 |
19K01913
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
陳 韻如 滋賀大学, 経済学系, 教授 (00389404)
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研究分担者 |
朴 唯新 県立広島大学, 経営情報学部, 教授 (20435457)
中岡 伊織 星城大学, 経営学部, 准教授 (50469186)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | グローバルバリューネットワーク / 電気自動車 / 特許情報 / 研究開発管理 / 東アジア企業 / 研究開発ネットワーク / 取引ネットワーク / ICT企業 / 東アジア / 特許分析 / 活用型組織 / 探索型組織 / IoT / 経営パラダイム / テキスト分析 / 日本ICT企業 / パナソニック / 社会ネットワーク分析 |
研究開始時の研究の概要 |
現在、IoTという形成されつつある分野では、従来の世界主要ICT企業だけでなく、スマートフォン市場で躍進した中国企業も主導権争いの舞台に躍り出ている。しかも、躍進のスピードも速い。既存の理論では中国企業の躍進について十分に説明したとは言い難い。それに、協業に焦点を当てた視点も全体分析の枠組みを提供できたとは言えない。新たに形成されつつあるIoT分野では、事後的に概観する既存の理論に対し、本研究は研究開発・取引・資本を含む価値創造ネットワークをグローバルバリューネットワークとして概念化し、その形成メカニズムを捕捉する。
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研究実績の概要 |
2023年度の研究は、主としてIoT産業と親和性の高い電気自動車(以下、EV)分野のグローバルバリューネットワーク(以下、GVN)を構成する企業間の連携と各企業の研究開発力との関係性、その関係性の推移、などを明らかにすることを中心に進めていた。 研究成果は以下の通りである。Nakaoka, Park, Akaoka, Chen(2023)はGVNの形成と研究開発力、企業の競争優位との関係性を明らかにするために、特許情報を基に各企業の強みや競争優位性の変化に関する指標を開発し、EV企業(トヨタ、フォルクスワーゲン、テスラ)と車載電池企業(パナソニック、LG化学、CATL)の研究開発力の可視化を図った。その結果、2000年代は日本企業がこの技術分野で強みを持っていたものの、EVの市場拡大につれ、ほかの国の企業、特に中国のCATLは要素技術領域の拡大や次世代電池への投資により相対的に業界内での技術優位性を高めている。企業間連携において、技術優位の後退を補うよう、トヨタは全固体電池の開発や海外企業(BYD、CATL、LG化学)との提携を進めている一方、パナソニックはライバルのCATLやLG化学に対抗するため、テスラとの連携強化や生産能力増強を計画している。また、組織間関係の構築は製品アーキテクチャの選択に左右されることから、中岡・朴・陳(2024)は特許情報を用いて製品アーキテクチャの可視化を図りGVNの変化との関係を探った。トヨタ・テスラ・パナソニック・LG化学ともモジュラー型度合いを低下させているなか、日本企業は相対的にインテグラルな部分に差別化を図り、LGは直近でモジュラー型度合いを高めているなどの結果を踏まえ、GVNとの関連性を考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の目的は当初予定していた達成度より遅れている理由は以下である。(1)データ収集や現地調査は難航している。研究対象の中国企業での現地調査やデータの入手はコロナ禍が収束した後も見込めない状態が続いている。(2)研究対象とするIoT分野のGVNは、サプライチェーンのブロック化によって実態の全体像の把握は困難である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策として、まず研究業績をあげることを最優先に考え、実行可能な研究方法や資料入手可能なルートを新たに確立することが挙げられる。実行可能な研究方法について、利用な可能なデータベースを探しつつ、日本や海外の調査会社を利用することも検討する。本課題の新たな切り口の探索について、IoTを支える基盤の半導体技術において日本企業が劣位にあるが、台湾企業等との提携や次世代のパワー半導体の研究を進めているため、研究対象を半導体産業のGVNに焦点を当て特許分析を行う予定である。以上の推進方策で本研究の成果をあげるように努めるが、必要に応じて研究内容や対象を柔軟に調整していく予定である。
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