研究課題/領域番号 |
19K01935
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07090:商学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
坂川 裕司 北海道大学, 経済学研究院, 教授 (40301965)
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研究分担者 |
森村 文一 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (80582527)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | Market Orientation / CRM / SCM / Marketing Capability / Big Data Analysis / Retailing / Retail Marketing / Marketing Capabilities / Capabilities |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は小売企業の市場編集能力による成果への影響を理論的に解明することである。国内小売企業を対象とした質問票調査を実施することにより,先進諸国の中で最も少子高齢化の進行している国内小売市場の中で,小売企業のマーケティング行動を分析し,規模縮小市場における有効な小売マーケティング戦略を解明する。そのキーワードが「市場編集能力(Market Editing Capability)」であり,この能力が顧客関係管理,そしてサプライチェーン管理のもとで競争力および成果に及ぼす影響を実証的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
小売業は,これまでのデフレーション経済からインフレーション経済への移行期に直面している.この移行期における小売企業の行動を捉えるために,二次資料の収集を行った.結果,Big Data Analysisによって実現されるproduct-centric marketing からcustomer-centric marketing への移行が進行した.店舗小売業においてオンラインとオフラインの2つのチャネルを統合することによる顧客経験価値の増大が追求されている現状を把握した.もはや小売業にとっての品揃えとは,実物としての品揃えだけではなく,情報としての品揃えも含む.その結果,小売業にとっての市場は従来の手法を用いて捉えることが困難になり,近年にみるbig data analysis の活用,AI技術の導入,DXに対する関心の高まりに至っていることが明らかとなった.市場編集能力は,企業が組織内外に散在する顧客市場の情報を分析し、市場の状態を捉える能力である.従来,市場編集能力は本部スタッフである商品バイヤーに集約されてきた.しかしAI技術が導入され,DXが推進されることによって,この能力が店舗の販売スタッフに分散されるようになりつつある.本研究は,この動向が市場編集能力に与える影響力の大きさを重視し,この点を加味した分析を行うこととした.その結果,仮説と研究モデルを適合させるために研究期間を延期し,2024年度内に調査を行うことにした.なお共同研究者である森村氏が,前年度までの研究成果を,単著『ビッグデータ分析能力: ビッグデータ時代のマーケティング組織と意思決定メカニズム』の一部としてまとめた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前年度までの研究進捗状況を踏まえて,2023年度は,小売業における市場編集能力に影響する技術要因,組織間関係要因,組織内部要因を一次資料および二次資料から抽出し,質問票調査の設計準備に取りかかった.市場編集能力という概念は,小売業において事業本文,地域本部,店舗からなる3つの組織階層ごとに存在する.単一組織として,各階層において存在する市場編集納涼句が統合され,形成される編集された市場イメージが統一されているほど,小売業におけるマーケティング成果も高まるという因果律の存在を見いだした.さらにビッグデータやAIなどの情報技術の導入を背景としたDXは,この因果律に影響を及ぼすことを認識した.この動向を踏まえた調査を実施する準備に十分な時間を確保するため,研究期間を延長することとした.以上の点を踏まえて,研究成果の向上を目的とする前向きな延長ではあるが,当初の計画期間を延長しているという点を踏まえて,現状までの進捗状況は「遅れている」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度までの研究作業を踏まえて,2024年度は,ビッグデータ分析能力への投資,AI技術の導入,さらにDXへの取り組みといった組織的な要因の影響を加味した仮説を加え,既存の分析モデルを修正し,新たな分析モデルに関する質問票調査を行う予定である.2024年9月以降に質問票調査を実施し,分析作業に入ることができるように,現在,準備を進めている.
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