研究課題/領域番号 |
19K01936
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07090:商学関連
|
研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
上原 渉 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 准教授 (30515060)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 海外現地法人 / マーケティング / 駐在員 / 権限委譲 / マーケティング能力 / 海外市場 / アジアの現地法人 / 海外進出 / 海外現地法人のマーケティング / マーケティング組織 / 駐在員マネジメント |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、海外現地法人におけるマーケティング能力構築のメカニズムを、組織と人材、合弁先企業との関係といった多角的な視座から明らかにすることを目的としている。2019年度から2020年度にかけては、タイとミャンマーに駐在する社員や、日本企業と合弁している現地企業等にインタビュー調査を行い、マーケティング能力を構築するための努力や事例を調べ、変数間の関係として整理する。2021年度は定量的な調査を行い、因果関係の実証を目指す。2022年度はこれまでの成果を学会発表や論文執筆を通じて、社会に還元する。
|
研究実績の概要 |
新型コロナウイルスの流行中は、日本企業の海外現地法人の駐在員が一時的に帰国し、現地採用スタッフに意思決定権限を委譲することになった。現地法人における現地採用スタッフへの権限の委譲は、コロナ禍以前には大きな課題の1つであった。これが意図せず実現することになった。しかしながら、流行が落ち着いた2022年度に行ったタイ現地法人への聞き取り調査によれば、コロナ禍に権限委譲が一時的に実現したものの、日本人駐在員が現地法人に戻ってきたことによって、元の状態に戻ったことが分かった。 この結果は、本研究の主要な問いである、海外現地法人組織の市場理解を阻害する要因の1つと考えられる。現地法人では権限移譲の重要性が理解されていたとしても、本社側の事情で駐在員を送らざるを得ず、彼(女)らをある程度以上の職位で派遣するため、現地採用社員よりも強い権限を付与せざるを得ないからである。現地法人の事情に合わせた組織変更が極めて難しいことを示唆している。 2021年度までに明らかになった駐在員の駐在期間や待遇の問題や現地パートナー企業の問題も含め、個々の現地市場・現地組織の事情に応じて組織変化させるというよりは、むしろ日本の本社が海外事業全体を再構築する際に、各国の現地法人の組織をいっせいに変化させるのかもしれない。 なお、この問題の一部に関してはすでに一般向けビジネス誌に寄稿済みである。また、本研究課題の成果を、ケーススタディとして執筆・公表している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究が遅れた原因は2つある。第一に、海外現地法人の調査が本研究課題の中心であるためコロナ禍で調査が実施できない期間があったこと、第二に、当初調査予定地の1つとしてミャンマーを考えていたが、2021年2月にクーデターが発生し多くの日本企業が撤退したため、計画を再考する必要があったことである。 しかし、2022年度から海外調査が可能になったことと、コロナ禍における日本企業の組織対応が一種の自然実験のような状況になったことで、必ずしもミャンマーと比較する必要がなくなったことで、本研究課題に引き続き取り組むことができるようになった。 研究期間を1年延長し、2023年度に改めて現地法人の調査を実施する。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題の調査地であるタイにおいて、最終的な聞き取り調査と、可能であれば質問票調査を実施したい。研究課題に対する仮説やフレームワークを最終確認すると同時に、それを定量的に実証するためである。 ただし、研究計画の段階では駐在員とのネットワークが多数あったものの、コロナ禍の混乱と帰国により、調査票の回答に協力してくれる駐在員の数が減ってしまった。そのような状況も徐々に改善されているため、2023年度は質問票調査に向けたネットワークの再構築と、調査の実施・分析に注力する予定である。
|