研究課題/領域番号 |
19K01938
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07090:商学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
森村 文一 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (80582527)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 社会的イノベーション / イノベーションデザイン / 節約イノベーション / 態度―行動ギャップ / 購買意思決定プロセス / 属性の観察可能性 / イノベーションへの抵抗 / サービスデザイン / 技術受容 / 態度ー行動ギャップ / 消費者購買意思決定 / 態度・意図ギャップ / 文化 |
研究開始時の研究の概要 |
消費者は社会的イノベーションをとても良いものだと評価するが,実際に採用していないことが多い。本研究では,消費者のイノベーションへの態度が採用意図や採用行動につながらないという採用ギャップに注目し,次の2つのこと明らかにする。 1つ目は,機能・性能が消費者の核となるニーズの充足に限定され価格が抑えられた節約イノベーションが,消費者のイノベーション採用ギャップを解消するメカニズムを明らかにする。 2つ目は日本・ドイツ・フィンランドを対象とした3ヵ国間比較を行い,節約イノベーションによる採用ギャップ解消メカニズムは,文化的特徴や市場の状況によってどのように異なるのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
この研究課題では,消費者は社会的イノベーションに対して良い態度を持っているが,実際の採用には結びつかないという「態度-採用行動ギャップ」は,イノベーションのデザインによって解消できるということを明らかにすることを目指す。 1つ目は,「コストの知覚」「パフォーマンスに対するリスクの知覚」「既存の行動パターンとの置き換えが困難であるという知覚」という社会的イノベーションの採用行動を阻害する3つの要素を,節約イノベーションデザインが解消することについて,これまでの年度で調査対象としたものではない社会的イノベーションを対象に調査を行うことである。2つ目は,イノベーションの採用行動の阻害要因および節約イノベーションデザインに関する異文化間比較を行うために,ドイツ・アメリカにおいて質問紙調査または実験室実験を行うことである。 1つ目について,他の社会的イノベーションとして個人と社会の双方に利益を創出する環境配慮型製品を選択し,これを対象とした調査を完了した。この調査では,属性の観察可能性が態度・行動ギャップに影響を与えることが分かった。今後は製品・サービスごとの違いや消費者属性も含めて詳細に分析する必要があるが,2023年度はこの調査データを基に国際ジャーナルに投稿する計画である。2つ目は国際比較データの収集である。ドイツ・アメリカでのデータ収集を行う計画であったが,調査協力機関の選定と調整に難航したため,2023年度上半期に別の手段を用いて調査を実施することに変更した。なお,調査を実行するための調整は完了している。これらのデータの分析結果は,2023年度中に国際ジャーナルに投稿する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要でも示した通り,2022年度の研究計画は,1)他の社会的イノベーションを対象とした,態度・行動ギャップと節約イノベーションに関する調査の実施すること,2)ドイツやアメリカにおける国際比較分析のためのデータを収集すること,である。 1つ目は,本研究課題の一般化可能性を高めるための調査と分析である。個人と社会の双方に利益をもたらす環境配慮型製品を対象に,どのような情報を明確にすれば,当該製品への購買意向が高まる(または低まる)のかということを分析できるデータを収集した。例えば,情報は増やせばよいわけでなく,製品が認識されているカテゴリーと一致する情報を強調する必要があるという結果が得られた。また,個人と社会の利益について,どちらを強調するかによって態度・行動ギャップに与える影響が異なるという結果も得られた。今後は詳細な分析を完了し,2023年度中に国際ジャーナルに投稿する計画である。 2つ目は,国際比較データの収集である。本研究は国際比較分析を通して,社会的イノベーションに対する消費者の態度・行動ギャップの発生メカニズムの違いを明らかにすることを目指す。2022年度はドイツ・アメリカのデータを収集する計画であった。当初は研究協力機関での実験室実験を実施する計画であったが,実施調整が難航した。そこで,他の研究機関を通したシナリオベースの質問紙調査に変更した。調査実施の調整は完了しており,2023年度の上半期に調査を実施する。2022年度中に実施計画であった調査に計画変更が生じたため,研究進捗状況をやや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は,5年間全体で5段階に分けて進める計画である。5段階目となる2023年度は,次の2つのことを行う計画である。 1つ目は,3つの社会的イノベーションを対象とした調査データを分析し,国際ジャーナルへの投稿を完了することである。これまでに,HEMS,モバイル決済サービス,環境配慮型製品に関する調査を完了した。2023年度は,製品・サービスに共通する・共通しないことを識別・解釈し論文としてまとめる計画である。 2つ目は,日本・中国を対象としたデータに,ドイツ・アメリカにおいて実施する調査データを加え,社会的イノベーションに対する態度・行動ギャップの発生メカニズムの国際比較分析を完了することである。これらの調査では,消費者の文化的次元も測定するが,それぞれの国の文化的次元の違いがどのように態度・行動ギャップを発生させるのかということについて詳細な分析を行い,各国に共通すること/文化的差異によって生まれる違いを論文としてまとめる計画である。
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