研究課題/領域番号 |
19K01943
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07090:商学関連
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研究機関 | 上智大学 (2020-2021) 千葉商科大学 (2019) |
研究代表者 |
外川 拓 上智大学, 経済学部, 准教授 (10636848)
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研究分担者 |
石井 裕明 青山学院大学, 経営学部, 准教授 (50548716)
朴 宰佑 中央大学, 商学部, 教授 (50401675)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 視覚的コミュニケーション / 広告画像 / 広告デザイン / 製品知覚 / 製品画像 / 消費者知覚 / パッケージ・デザイン / ブランド知覚 / ブランド・トラスト(信頼) |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ブランドの信頼感評価に対して、視覚を通じたコミュニケーション(例えば、当該ブランドのロゴ、パッケージ、広告のデザインなど)がどのような影響を与えるのかについて検討することを目的としている。3年間にわたる研究を通じ、ブランドへの信頼感を構成する概念を整理したうえで、信頼感評価に結びつく視覚的デザイン要素を特定し、その影響関係を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度も広告画像が製品やブランドに対する消費者知覚にどのような影響を及ぼすのか、という点について、理論と実証という2つのアプローチで検討を行ってきた。 理論面では、前年度に引き続き、広告画像、パッケージ・デザイン、ロゴ・デザインなど、マーケティング刺激の視覚的な特性に関する先行研究を継続的にレビューし、メンバー間で共有した。 実証面では、本年度も複数の実験を実施することにより、仮説の検討を試みた。これまで継続的に実施してきた先行研究レビューを踏まえ、本研究課題では、冷たさや温かさなど、何らかの温度感を連想させる画像を広告へ掲載することにより、革新性や信頼性など、広告製品に対する消費者知覚が変化することを予測した。前年度にも基礎的な実験データの収集は完了していたが、影響関係のメカニズムや発生条件をさらに精緻に捉えるため、本年度は、追加的な実験を行った。 実験結果は、日本消費者行動研究学会第62回消費者行動研究コンファレンス、および日本マーケティング学会 カンファレンス2021 リサーチプロジェクト・セッションにおいて発表した。両発表において得られたフィードバックを反映しながら、研究成果を論文としてまとめ、当初の予定通り、海外の学術誌に投稿した。 従来と同様、海外の研究協力者との取り組みも進めた。前年度に引き続き、本年度も研究代表者と研究協力者との間で共同研究契約を締結し、画像から伝わる重さの感覚が消費者の価格知覚に及ぼす影響について検討を行った。すでに実施した実験のデータ分析が完了したため、論文として成果をまとめ、海外の学術誌に投稿した。 いずれの論文も、本報告書執筆時点では査読中であり、今後、必要に応じてさらに追加的な実験や分析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、本年度は国際比較研究による文化差の解明に主眼を置く計画であった。しかしながら、先行研究レビューの結果、およびこれまでの本研究課題で得られた結果などを踏まえ、文化的な差異の解明よりも、これまで本研究課題で明らかにしてきた広告画像の効果について、さらに詳しく検討することを優先させた。そのため、本年度は、温度感を連想させる広告画像(例えば、寒さを感じさせる冬景色の写真)が、製品知覚(例えば、新しさや信頼性など)に及ぼす影響に注目し、基礎的な効果のみならず、その効果がいつどのようなメカニズムで発生するのか、という点について複数の実験で明らかにした。これらの研究成果は、国内の学会で発表し、得られたフィードバックを反映させたうえで、海外の学術誌へ論文として投稿した。 加えて、前年度に引き続き、視覚を通じて得られる重さの感覚が、価格に対する消費者反応に及ぼす影響についても検討した。本年度では、すでに実施済みの実験から得られたデータを分析し、論文として結果をまとめ、海外の学術誌へ投稿した。 一部、当初の計画から変更した部分もあるが、論文成果をまとめ、学術誌に投稿するという計画は大筋で達成することができた。以上の事項を総合的に勘案し、本研究課題の2021年度末時点における進捗状況は「おおむね順調に進展している」と結論づけた。
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今後の研究の推進方策 |
当初、2021年度をもって本研究課題は終了する予定であったが、研究成果の発信をさらに積極的に推進するため、研究期間を1年延長し、2022年度も課題を継続することに決定した。 すでに述べた通り、本報告執筆時点(2022年4月)において、複数の論文を学術誌に投稿済みであり、査読の過程で追加的なデータ分析や実験実施が求められる可能性がある。これらのフィードバックに対応することにより、理論的考察や実証手続きの質を高めるとともに、本研究課題の成果を着実に発信していきたい。 なお、本報告執筆時点において、新型コロナウィルス感染症の問題が同年度内に収束する見込みは薄いと考えられる。しかし、2022年度の活動計画は、新規の実験や調査を実施するというより、既に得られた研究成果の発信に主眼を置いているため、感染症問題が研究進捗に深刻な遅滞をもたらす可能性は低いと考えられる。ただし、万一、予期せぬ何らかの変更を余儀なくされた場合には、優先度や学術的な意義の大きさを踏まえながら柔軟に対応し、本研究課題全体の計画に問題が生じないよう努めていく。
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