研究課題/領域番号 |
19K01969
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07090:商学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
水野 学 日本大学, 商学部, 教授 (80411685)
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研究分担者 |
廣田 章光 近畿大学, 経営学部, 教授 (60319796)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ユーザーイノベーション / 情報の粘着性 / スタートアップ / 共創 / 製品開発 / リードユーザー / 商品開発 / グラフィックレコーディング / リード・ユーザー / ユーザー・イノベーション / 製品イノベーション / ユーザー・コミュニティ |
研究開始時の研究の概要 |
製品やサービスの革新は、その使い手であるユーザーが行うことがあるが、一般的にユーザーは技術に関する知識やスキルに乏しいため、メーカーなど他者の協力が必要となる。どうすればこの情報をうまく伝えることができるのか、その条件や方法について、フィギュアスケートの元五輪代表が取り組んでいる用具開発の事例をもとに研究を行う。具体的にはそのアスリートが協力メーカーにニーズや仕様を伝えたときの表現方法、使用した器具、やりとりの手段をインタビューをもとに明らかにする。
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研究実績の概要 |
新型コロナの影響により、当初計画していたウインタースポーツのトップアスリートを対象とした研究が不可能になっため、昨年度より、ユーザー(もしくは起業家)が持つアイディアやソリューションを具現化させるための支援や共創体制に関する研究へと転換を図ってきた。本年度はスタートアップ企業とその支援組織およびユーザーとアウトドア衣料・用品企業との協業という2つの事例について研究を進めることができた。 まずスタートアップ企業とその支援組織に関しては、技術志向が強いスタートアップとニーズ志向が強いスタートアップそれぞれについて、ファブ施設およびスタートアップ起業家のコミュニティが果たす情報の粘着性低減効果についてケース研究を実施した。その結果、技術志向が強いスタートアップについては起業家間コミュニティが、ニーズ志向が強いスタートアップについては技術スタッフおよびコーディネーターによる技術情報や支援サービスの翻訳がそれぞれ重要な役割を果たしていることが発見された。とくに先行研究では形式知化がしやすく、情報の粘着性が低いと考えられている技術的情報であったとしても、ニーズ志向が強く、技術的情報や知識に乏しい起業家の場合は、それらの知識移転についても粘着性が高いため、それをニーズやソリューションと関連付けながら翻訳する支援サービスの存在が重要であることが仮説として導出された。 次にユーザーとアウトドア衣料・用品企業との共創に関しては、いわゆるリード・ユーザーと呼ばれる極端なニーズや製品の使い方を行うユーザーの要望のうち、粘着性が低く形式知化しやすものが共創のプロセスに乗りやすいこと、そしてその要望の実現(具体的な製品化)プロセスの中で生じる粘着性の高い情報の処理が問題となるが、その場合のコミュニケーションと企業側の意思決定が重要であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究対象の変更がうまく進み、またその対象との関係構築もほぼ計画通りに進めることができた。さらに研究報告および研究協力者を発見するための学会活動も対面開催が増え、コミュニケーションがとりやすくなっていることも、研究が順調に推移した理由の1つである。とくにコロナ禍でオンライン開催に限定されていた、世界最大のユーザーイノベーション研究コミュニティ(Open and User Innovation Communityなど)が4年ぶりに対面で再開されたため、先端の研究蓄積および研究者へのアクセスが一気に進んでいることは、本研究にとって非常に大きな意味を持つ。
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今後の研究の推進方策 |
リサーチ活動については2023年度で概ね終了しているため、2024年度は文献および補足的調査を加えながらも、アウトプットの算出、具体的には論文および研究発表に注力する予定である。研究実績で触れたスタートアップ企業とその支援については、2023年度に論文化していることから、もう1つのユーザーとアウトドア衣料・用品メーカーとの共創に関する研究のアウトプットに注力する。また国内では日本マーケティング学会、国外ではOpen and User Innovation Communityへの参加により研究成果の報告や広報、さらには研究発展に向けた共同研究者の開発に注力する予定である。
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