研究課題/領域番号 |
19K01975
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07090:商学関連
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研究機関 | 阪南大学 |
研究代表者 |
櫻井 靖久 阪南大学, 経済学部, 准教授 (50445003)
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研究分担者 |
佐藤 彰彦 大阪産業大学, 経営学部, 教授 (10434789)
藤原 直樹 追手門学院大学, 地域創造学部, 教授 (10806467)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 中小企業 / 海外進出 / 東南アジア / シンガポール / 関西企業 / サプライチェーン / 自治体の支援 / バリューチェーン / アンケート調査 / 立地戦略 / 海外進出支援 |
研究開始時の研究の概要 |
中小企業の海外進出の多様化が、グローバルなサプライチェーンの変化に重要な役割を果たしており、そうした中で関西中小企業の東南アジア進出の立地戦略をバリューチェーンの視点から明らかにする必要がでてきた。また、中小企業の海外展開にはリスクが高いため、地方自治体による産業政策としての中小企業の海外展開支援の実態を解明も重要である。 こうした研究目的を達成するため、海外進出している中小企業へのアンケート調査と、進出先でのヒアリング調査から傾向と実態を明らかにすることを目指している。
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研究実績の概要 |
2023年度は、8月にシンガポールへの調査を実施した。調査先は、自治体や政府の支援機関としては、自治体国際化協会シンガポール事務所、JETROシンガポール、静岡県シンガポール事務所、石川県シンガポール事務所へのヒアリング調査を実施した。また、関西企業では、大阪府に本社を構える中小企業で、衛生用品製造、造園工事・園芸サービス、廃棄物処理機械製造を行っている3社へヒアリング調査を実施した。 シンガポールは、東南アジア全体の事業を統括する部署を設置している企業が多いため、支援機関も東南アジア全体の企業の事業支援を行っていることが多い。例えば、ベトナムやタイなどの国への輸出支援や紹介を実施している。一方で、近年は日本国内の地場企業における人手不足を背景として、東南アジア人材の獲得支援も増えてきているという。これまでの技能実習生のような短期間・低コスト・単純労働ではなく、正社員として高度な技能を持つ人材の獲得に力を入れていることがわかった。 一方で、シンガポールに進出している関西企業は、いずれもシンガポール市場への参入が目的であるが、東南アジアや他の国への進出や事業の拡大を見据えていることが分かった。そのため、取引先としても日本本国ではなく、他の東南アジア諸国やアメリカとの取引を行っていた。そのため、グローバルなバリュチェーンの広がりを確認することができた。 このように、シンガポールの調査では、支援機関からは日本国内の中小企業の海外への関心の高まりが確認できたが、そこには市場としての視点ではなく、人材の取引相手の獲得などにも関心を持っていることが理解できる。また、企業の事業への調査からもそれを裏付けるエビデンスが証明された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年にアンケート調査を実施して、その後は東南アジアのベトナム、タイ、インドネシアへの調査を実施する予定であったが、その後のコロナの感染拡大によって海外への渡航が大学から禁止されため、2022年度まではまったく研究が進展しなかった。研究対象である関西の製造中小企業も、コロナ禍の元では調査に応じる余裕がないことが多く、特に海外事業は混乱しているため、国内での調査も進めることができなかった。2023年度になり、海外渡航の許可が得られるようになったため、当初の予定通り、8月にベトナム、タイ、インドネシアへの調査を実施しようと試みたが、調査先の確保が困難であったため、支援機関の多いシンガポールでの調査に代えた。その後、タイのバンコクへの調査を11月に実施する予定であったが、学務の関係から櫻井、佐藤はスケジュールを調整することができず、藤原による支援機関へ単独での調査にとどまった。2、3月にも調査を実施しようと調整したが、3者での予定があわず断念した。そのため、中小製造業の進出が多い、タイやベトナムへの調査がまだ実施できていない。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度のなる2024年では、研究を完了する必要があるため、これまでのように3者での合同での調査を諦め、それぞれ単独での調査を実施する。その際、調査対象が重なることを避けるため、業種などの対象が異なるように調整する。具体的には、櫻井が機械や金属、佐藤が繊維・化学(アパレルに関するもの)、卸売小売を対象とする。藤原は引き続き、政府や自治体の支援機関の調査を行う。その他の対象については、調整可能な者が担当する。 具体的なスケジュールとしては、タイやベトナムへの進出企業に対して7月までに日本国内でのヒアリング調査を行う。その際に、海外事業先への訪問の調整を行い、8~9月中にタイとベトナムへのヒアリング調査を行う。また、12月までには、インドネシアを含めた他の国への調査も検討する。 研究の発表の予定としては、櫻井は経済地理学会関西支部7月例会での報告を予定している。また、10月末発行の阪南大学論集への論文投稿も予定している。佐藤と藤原は、10月以降に学会報告や来年度初頭発行の論文への投稿も、それぞれ検討中である。
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