研究課題/領域番号 |
19K01986
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小津 稚加子 九州大学, 経済学研究院, 教授 (30214167)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | IFRS導入 / 新興国 / コスト・ベネフィット / 開発途上国 / 会計教育 / フィールドワーク / 非IFRS強制適用 / 財務諸表 / IFRS導入のスケジュール / 資本市場の発展 / 新興国のIFRS / 現地国基準との違い / 国際会計基準(IFRS) / IFRS以前 / ベトナム / ラオス / カンボジア / IFRS(国際会計基準) |
研究開始時の研究の概要 |
グローバル会計基準の導入は、多くの新興国で取り組まれている重要な政策課題である。この研究では、アジアの新興国における国際会計基準(IFRS)・SME版IFRSの導入に着目する。カンボジアはIFRSを全面導入し、ベトナムは金融商品会計基準を排除した。このような受容と排除の過程をアーカイバル研究とインタビュー調査によって明らかにする。
|
研究実績の概要 |
本年度7月に、ベトナム金融庁の職員研修の講師として招かれた。このとき、日本とベトナムを対象としたIFRS導入調査を口頭報告し、IFRS導入期における両者の類似点と違いを精査した。ベトナムでは、会計原則と会計基準(VAS)が制度としてあり、ここにIFRS導入を目指している。しかし、計画通りに進んでいない。そこで、この状況を打開し、新たな方向性を探求するため、日越の比較研究を行った。日本企業の2008年とベトナムの2023年を比較可能な時点であると前提したうえで、任意適用である場合にベトナムにおいて生じうる問題を明らかにした。とくに、①公正価値ヒエラルキーについての理解、②外国企業へのIFRS適用、③産業別の会計基準の作成とIFRS適用の範囲、を論点として挙げることができる。ベトナムでは日本型のコンバージェンス・アプローチに、また特定の産業保護を目的として日本のIFRS普及戦略に関心を持っていることを確認した。 ワークショップでは様々な意見交換ができた。とりわけ、アジアの権威主義国家であり、また海外からの投資が著しい国においてグローバル会計基準対応の難しさを直接把握することができたのは成果であった。これまでに収集した先行調査研究の脆弱さ、研究の質についても、政策担当者に質問した。IFRSについての誤解(IFRS導入後は継続適用となることなど)を会計教育と併用することで早急に対処すべきであることが確認できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度から研究対象をベトナムに絞って、IFRS導入の現状把握、情報収集に努めた。ベトナム金融庁の責任者との面談をしたし、当該国の会計基準の動向を追跡調査もしたが、研究過程で判明したのはIFRS導入そのものがとん挫していることであった。同国内の粛清は、新聞報道されている通りである。国内政治の動向は予想外であったため、現時点で、現地調査をしても得られるものが少ないと判断して、実施しなかった。また円安も当初の研究計画を見直さねばならない一因であった。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度が最終年度となる。これまでに行ったインタビュー調査・サーベイ調査を踏まえ、また可能な限り新規の調査を追加し、ベトナムにおけるIFRS導入についての現状と課題を中心に総括する。当初、科研のテーマはアジア新興国を視野に入れていたが、ベトナムという特定の国にしぼり、IFRS導入の課題をIFRSの理解度(例えば、VASと比較した時のIFRSの特徴である公正価値評価の認識のされ方、IFRS初度適用後の継続性、大学教育における会計学の位置づけ)をも含めて指摘する。研究成果の口頭報告も予定しており、国内の学会で発表を計画している。
|