研究課題/領域番号 |
19K01992
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 国士舘大学 (2022) 千葉経済大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
佐藤 恵 国士舘大学, 政経学部, 教授 (90554981)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 財務的弾力性/財務弾力性 / リース会計 / 非営利組織会計 / サステナビリティ開示基準 / レジリエンス / 財務的弾力性 / 公益法人会計 / 非財務報告 / 統合報告 / オペレーティング・リース / ファイナンス・リース / 貸手 / 認識中止アプローチ / 財務弾力性 / 残存価値 / シェアリング・エコノミー / 使用権モデル / 環境財務会計 / 資産除去債務 / 財務諸表表示 / 資産認識 |
研究開始時の研究の概要 |
新たなリース会計(使用権モデル)が諸外国で基準化され、これまで費用処理されてきたリース料が非金融資産(使用権資産)として認識されるに至った。 これまで研究代表者は、使用権モデル上、非金融資産というよりむしろ将来発生費用(資本コスト)が資産認識されると解釈しうるケースがある点に注目してきた。そして、そのオンバランス化の論拠として、財務弾力性(キャッシュ・フローの金額とタイミングを効果的に変更する企業の能力)という概念に着目してきた。 本研究では、これと類似する会計事象が見受けられる環境財務会計および非営利組織会計を考察対象に含めることで、最終的に、財務弾力性の現代的評価を帰納法的に探究する。
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研究実績の概要 |
令和4年度は、文献研究を中心として、以下に掲げる研究の成果を得ることができた。 (1) 共同研究として、2021年に公表された国際統合報告フレームワークの改訂版を中心に「負」(negative)の情報開示に関する研究を取りまとめ、令和4年中に共著論文を刊行した。本論文では、非財務報告開示基準のなかで「負」の情報開示に着目し、当該開示情報が企業のイノベーションを高める可能性について、組織学習論の観点から検討を行った。 (2) 個人研究として、2022年3月にISSBが公表したサステナビリティ開示基準公開草案を中心に、企業の「レジリエンス」(resilience)に関する情報開示を整理・検討した論文を刊行した。本論文では、ISSBの公開草案の他、IASBの経営者の説明(MC)およびTCFD提言において企業評価の一つとして取り上げられている「レジリエンス」に着目し、企業のレジリエンス評価が、1970年代に提唱された「財務弾力性」評価と近似するとの仮説を立て、両概念を比較検討した。そして、両概念は、企業の(実質的な)資金拘束性に関する情報開示の必要性を要請したものと言い当てている。 以上、令和4年度は、本研究課題の三本柱のひとつである「環境財務会計」の文献研究に注力した一年であった。当年度は、ISSBの公開草案の公表をはじめ、非財務報告開示基準の開発が大きく進んだこともあり、その意味において、令和4年度における研究対象の設定は妥当なものであったと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
まず、本研究課題の申請にあたり、予算を厳しく計上した関係で、当初の研究計画を(予算上特段問題のない)ヒアリング調査ならびに文献研究を中心に改めている点について、前年度に引き続き重ねて記載させていただきたい。 次に、令和2-4年度に関しては、コロナ禍によりヒアリング調査の実施が遅れた点が挙げられる。さらに、令和4年度に関しては、所属機関を移籍した関係で、研究のウエートが一時的に低下した点が挙げられる。 以上のような困難に見舞われながらも、文献研究に注力し、とくに財務環境会計分野であるサステナビリティ開示基準の研究を進展されることができた。したがって、文献研究については進捗状況に遅れはみられない。 以上より、文献研究に関しては進展がみられるものの、ヒアリング調査の実施が遅れたことから、全体として「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は、研究目的の着実な達成および予算の有効活用を念頭に、申請当初から弾力的な研究計画を設計している。しかしながら、全体として「やや遅れている」ことから、当初の最終年度である令和4年度に、研究期間の1年延長を申請し、認められたところである。今後1年間は、本研究課題を総括すべく、「財務弾力性」および「レジリエンス」評価を分析視角として、本研究課題の対象となる三領域、すなわち、「リース会計」・「非営利組織会計」・「環境財務会計」を整理・考察することに邁進する。
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