研究課題/領域番号 |
19K01995
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
西居 豪 専修大学, 商学部, 教授 (30439517)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
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キーワード | 業績評価 / 不完全さ / イネーブリング / 責任感 / 自律性 / 利益観 / 経営理念 / 因果連鎖 / BSC / 意思決定 / マネジメント・コントロール / コントロール・パッケージ / インセンティブ強度 / 因果連鎖情報 / 評価バイアス / イネーブリング・コントロール / シミュレーション / LOC / コンフィギュレーション / 模倣 / 学習 / ミクロ・マクロループ / 指標間関係 / 因果関係 / 短期主義 / 長短のバランス / バランスト・スコアカード / 戦略的業績評価システム / 複雑さ / 認知 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,業績評価指標間の因果的な関係の構造的特性から規定される複雑さが,戦略的業績評価システムにおける組織成員の判断や意思決定にどのような影響を及ぼすのかを解明することを目的とする。具体的には,戦略伝達,業績評価,資源配分意思決定,指標の妥当性検証という,戦略的業績評価システムの一連のマネジメント過程にて重要な4つの局面に焦点を合わせる。そして,これらの局面での,戦略の策定・実行の最終責任者である上位者,主に戦略実行に携わる下位者,戦略に関する統計分析を行うデータ・アナリストという役割の異なる三者の判断や意思決定を取り上げる。
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研究実績の概要 |
2023年度は個人を対象とした業績評価に関する仮説構築とそれを検証するための質問票調査項目の設計に多くの研究時間を投入した。具体的には、測定の不完全さと成果に対する責任感、動機づけ状態と業績評価を取り巻く総合的な状況の関係性、仕事と評価の期間的ズレ、重要性と業績貢献度のギャップ、上司の対人関与行動に関する仮説を構築し、各構成概念の測定尺度の開発に取り組んだ。これらの検証は、本研究課題の戦略実行に関係するトピックを対象としたものとなっている。調査票はすでに完成しており、2024年度にオンラインでの調査を行う。なお、オンライン調査特有の注意点については、文献サーベイを行い、その対応策を調査票あるいは調査システムに盛り込んでいる。上記の研究活動に加えて、論文の公表にまで至った実績は下記の通りである。 まず,重要な業績評価指標の一つである利益について,個人がどのようなものとして認識しているのか,手段としての利益と結果としての利益という2つの利益観として捉え、それらが個人の利害に関わる選択に関連しているのか,米国でのアンケート調査のデータを用いて検証した。この検証結果を取りまとめた論文(「個人の利益観と遅延価値割引」)は會計(2024年5月号)にて公表された。 次に,業績評価システムを含むマネジメント・コントロール・システムの根源的な方向性を決定づける可能性が高い要素として,経営理念の内容に注目した分析を行った。具体的には,製造業の電気機器に属する上場企業250社を対象に,テキスト・マイニングを通じて経営理念の内容的な特徴を整理し,理念内容と競争戦略の追求との整合性について実証的に検証した。この検討内容は2023年に開催された日本管理会計研究学会全国大会にて報告を行い,その成果を専修大学会計学研究所報(「経営理念と戦略的行動の整合性」2023年12月)にて公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度、調査内容の修正を決定した質問票調査は主に戦略実行者を対象とした修正版として完成させることができた。現在、実施に向けての最終調整を行っている。 なお、昨年度と同様、過去に取得していた調査データを用いて、本研究課題に関連したトピックとして再構成した研究を行い、論文公表に至っている。また、当初想定した検討範囲よりも広めの視角から業績評価システムの検討内容を捉えることで、経営理念の内容的な影響を示唆する知見が得られた。 このように昨年度から状況は進展しており、遅れはやや取り戻すことができたと認識している。
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今後の研究の推進方策 |
上記のオンライン質問票調査を実施するとともに、特に資源配分意思決定への複数指標間関連性の構造的違いを検証するための実験も行う。これらの調査・実験の成果を論文として取りまとめ、学会・研究会で報告する予定である。
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