研究課題/領域番号 |
19K02014
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
繁本 知宏 香川大学, 経済学部, 准教授 (90756842)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 信用リスク / 格付 / 財務指標 / 会計情報 / テキスト分析 / 信用力 / 意思決定有用性 / 信用格付 / 格付推定 / 財務情報 / 非財務情報 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、格付会社が格付決定時に公表する格付リリースのテキスト分析を通じて企業の信用力(債務返済能力)評価の鍵となる情報を探索した上で、有価証券報告書や新聞記事などのテキストデータ(文字データ)を用いた信用力評価手法の構築を目的としている。これまで会計研究の世界では、財務諸表の数値情報と株価との関連に着目した研究が多かったが、本研究はテキスト情報と信用力の関連に着目する点が大きな特徴である。
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研究実績の概要 |
補助事業期間4年目となる令和4年度は、令和3年度までに実施した理論構築を基礎とした実証研究に取り組んだ。 信用リスクと財務指標の関係に関する研究としては、信用リスク指標(例えば社債スプレッドやCDSスプレッド、格付など)と相関関係の強い財務指標(数値データ)を、統計的に洗い出すタイプの研究が主流である。代表的には倒産予測モデルや格付推計モデルの構築を目指す研究が挙げられる。そうした研究は、信用リスク指標と財務指標を直接関連付けており、信用リスクを評価する主体である投資家あるいは格付会社の評価プロセスには光を当てていない。この点、令和4年度においては、特に格付に着目し、格付会社が格付付与時に公表する格付リリースのテキスト分析、とりわけ頻出語分析を行うことによって、格付会社が格付評価において実際に利用している財務指標を抽出・分析した。 分析においては、格付リリースを格付アクション別(維持、格上げ、格下げなど)に分類し、それぞれにおいて特徴的な語を抽出した。この結果、格付リリース全体としてみれば、令和3年度に明らかにした格付評価における財務リスク評価の理論に沿った特徴語が表出している姿が浮かび上がった。しかし、格付評価で重視されているはずの有利子負債と返済原資のバランスを表す語は、理論が予測するほど多く出現していないなど、説明が難しい点も見えてくるなど、さらなる分析の必要があることも認識された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初計画では3年で研究を終了する予定であった。しかし、令和2年度には当初計画に含めていなかった頻出語分析の理論的基盤の解明に関する研究と論文公表を追加実施したほか、令和3~4年度では新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、学会等が開催中止あるいは規模縮小、開催方式変更などを余儀なくされ、研究成果を報告して内容をブラッシュアップする機会を逸してしまった。こうした事情から、本研究の進捗状況は当初予定と比べて遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況で記述したように、本研究課題の進捗には遅れが生じている。こうした状況を踏まえ、本課題の研究期間を1年延長し、令和5年度を最終年度とすることとした。 令和5年度に行うべき研究は、まず令和4年度に行った分析の研究成果を論文として公表することである。これはほぼ完成していることから、早々に査読誌へ投稿し、順調に査読が通れば年度前半には公表できる予定である。次に、追加分析として、格付水準別の分析を進める。同時に、共起分析を行い、語レベルを超えて意味レベルでの分析も行い、年度後半には論文として公表する予定である。以上は共通のデータセットを用いることができるため、令和4年度に行った格付アクション別の頻出語分析ほど時間はかからない見通しである。さらに、それらの成果をもとに、理論と現実の乖離原因の分析や、信用力評価にとって有用な会計情報についての考察を進め、本研究課題を締め括りたい。
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