同和問題解決のための特別対策としての特別措置法が2002年に期限切れを迎え、「部落民」としての肯定的な社会的アイデンティティを形成するための制度的な支えが縮小・解体傾向にあるなか、インターネットなどの情報技術の進展に伴い、部落出身者などのマイノリティに対する身元暴き・アウティングといった差別行為がより容易に拡散される時代となっている。本研究は、それでもなお「部落民」としての肯定的なアイデンティティが形成されていく過程を、主に被差別部落出身の若者への生活史聞き取り調査を実施することで明らかにし、さらにはそれを可能にする要因群を析出する。
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