研究課題/領域番号 |
19K02053
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 日本映画大学 |
研究代表者 |
韓 東賢 日本映画大学, 映画学部, 准教授 (50635670)
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研究分担者 |
曹 慶鎬 立教大学, 社会学部, 助教 (20762892)
明戸 隆浩 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (90817230)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 在日コリアン / 国籍 / 朝鮮籍 / 国際移動 / シティズンシップ / 朝鮮学校 / アイデンティティ / コロナ禍 / 差別 / マイノリティ / 制度的差別 / イデオロギー / 「朝鮮」籍 / ナショナリズム / 排外主義 / 国別好感度 / ネイションステイト / 移動 |
研究開始時の研究の概要 |
グローバル化が進む現在においても、国境を越える移動を支えるのは国民国家による身分保証のシステムであり、「移動」という側面から見ると、国民国家の枠組は依然として強固だ。 本研究は、在日コリアンの「国籍」を事例に、境界的存在における「国境を越える移動の権利」のあり方を検討することで、国籍というメンバーシップの核が「国境を越える移動の権利」だと明らかにすることを目指す。 国民国家の枠組とシティズンシップの関係を再考し、シティズンシップ研究および在日コリアン研究への新たな視座を与えたい。
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研究成果の概要 |
在日コリアンの「国籍」を国際移動の権利という側面から検討するため、質問紙による量的調査を実施した結果、朝鮮学校卒業生の間で朝鮮籍から韓国国籍への変更は一般化された出来事であり、集中したのが2000年代だったことが確認できた。主な理由は日本国外への渡航、またその主な目的は観光、さらにその主な行先は韓国以外の第3国だった。このように「国籍」変更(韓国国籍取得)の理由は、プラグマティックな移動の自由と関係していた。 こうして、シティズンシップの揺らぎや相対化が議論されているものの、国際移動においてその実質的側面(「権利・義務」)と形式的側面(「国籍」)がいまだ不可分であるということが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
最大の意義は、1990年代以降の朝鮮籍在日コリアンによる韓国国籍選択の主な目的が国際移動だと明らかにしたことだ。国籍を道具的に扱いつつも、自らの出自とコミュニティを重視するかれらのアイデンティティの一端を示したことも貴重な知見だろう。 国内で安定した在留資格を持っていても国際移動のために「国籍」を変更しているという事実は、国際移動の権利こそが国籍という契約によって付与されるシティズンシップの核だと示唆する。本研究は、「国籍選択/非選択」が移動という人として不可欠な権利と直結しているというかれらの状況の理不尽さを示すとともに、移動を前提にシティズンシップ論を再構築していく必要性を提起する。
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