研究課題/領域番号 |
19K02070
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
木本 喜美子 一橋大学, 名誉教授 (50127651)
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研究分担者 |
朴木 佳緒留 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 名誉教授 (60106010)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 共稼ぎ労働文化 / 男性稼ぎ主労働文化 / 教育と生活-労働過程 / 女性労働史 |
研究開始時の研究の概要 |
現代日本の共稼ぎ家族の増大について、高度成長期に主流化した「男性稼ぎ主労働文化」から「共稼ぎ労働文化」への移行として単純に捉えることはできない。「男性稼ぎ主労働文化」が広がったとされる時代にも、大企業労働者が少ない地域では「共稼ぎ労働文化」が存在していたことが、すでに明らかにされているからである。 本研究は高度成長期に「共稼ぎ労働文化」が根づいていた地域に注目し、これが「男性稼ぎ主労働文化」との相克のもとでいかに生き延びたのかを、その時代を生きた諸アクターへのインタビュー調査および史資料の分析から明らかにする。 こうした歴史的知見をもとに、現代の共稼ぎ化傾向の強まりがもたらす意味を考察する。
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研究成果の概要 |
本研究の問題意識は、家族の歴史変動を把握する視点を与えた「近代家族論」を重視しつつも、なお無業の主婦を持つ家族モデルが全国に波及したとの仮説は検証されておらず、既婚女性の雇用労働者化の展開を重視すべきだというところにある。そこで「近代家族論」の対極にある地域として織物産地に着目し、高度成長期をはさむ時期に、結婚・出産・子育てをしながら継続的に就労してきた織物業女性と女性教員のインタビュー調査を実施した。その結果明らかにしえたのは、既婚女性の継続就業を促す歴史的な基盤が労働文化として蓄積されており、学校教育においても、近代家族規範の影響を受ける局面はほとんどなかったという事実である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、特定地域の調査研究を通じて、女性の労働史研究を再構成しようとする問題意識にたっている。従来、労働史研究と家族史研究とは相互に閉じた領域として扱われてきたのに対して、本研究は両者を架橋することを通じて、女性労働と家族のダイナミックな絡み合いを解析しようとするところに学術的意義がある。その際特定地域を取り上げ、高度成長期に働きに出て継続就業してきた既婚女性の労働-生活史を、インタビュー調査を通じて丁寧に掘り起こす手堅い方法を採用しているところに特徴がある。ここで得られる知見は、既婚女性の賃労働者化が進む現代日本の女性労働分析に貢献しうる射程を有しており、今日的な社会的意義がある。
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