研究課題/領域番号 |
19K02073
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
荻野 達史 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (00313916)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ひきこもり / ひきこもり支援政策 / 政治改革 / 行政改革 / 内閣府 / 地方分権改革 / 地方自治体 / 地域精神保健 / ひきこもり支援 / 地域格差 / 自治体 / 歴史性 / 地域特性 / 若者就労支援 / 精神保健福祉 / 厚生労働省 / 地方分権 / 家族主義 / 保健所 / 財政効率主義 / 福祉政治 / フィールドワーク / 社会福祉基礎構造改革 / 若者支援 / 支援システム / 財政効率 / 福祉レジーム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、この20年ほどの間に日本社会で展開されてきた「ひきこもり」を含めた「若者支援政策」の基本的な〈思考法〉について批判的に検討するものである。 関連法の制定と複数の相談窓口の設置が行われてきたが、そのなかで支援対象者の早期の分類、振り分けが重視され、支援目標も限定化される傾向が認められる。こうした傾向は、特に財政的な効率性の発想によって促されているが、支援現場の実情から乖離し、潜在的な支援利用者を排除するなど否定的な影響も危惧されるところである。 各地の行政、支援機関・団体に対して主にインタビュー調査を行い、この政策的思考法の問題を明らかにし、今後の方向性について検討する。
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研究成果の概要 |
ひきこもり支援政策が開始されて20年経過したが、非常に多くの人々が公的支援を受けられることなく取り残されてきた。その直接的な理由は、公的支援が就労支援策に偏重してきたこと、そして支援資源の地域格差が大きかったことに求められる。しかしその背景には1990年代より進行した政治改革、とくに行政改革と地方分権改革がある。前者によって政治主導の象徴として設置された内閣府は、ひきこもりを当初厚労省が計画した地域精神保健で対応する問題としてではなく、若者就労問題に読み替えた。地方分権改革は、厚労省による全国一律の対応を弱化させ、同時に地方自治体の財政力を削いだことで後発問題への対応をより困難なものとした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、ひきこもり問題と「政治改革」との関係を検討することで、これまで関連研究では等閑視されてきた、支援政策についての政治過程論的な理解を進めたものである。就労支援への偏重は新自由主義的なものとして多々批判され、地域格差についてはごく一般的な問題として認識されてきたといえよう。しかし、それらは政治制度の変動から生じている部分もあり、それを理解することで状況の変革を図る緒も掴めよう。 また逆に、本研究は「政治改革」のもたらした問題を読み解くための事例研究ともなっている。このことは、今後も生じてくるであろう、とりわけ各地域での対応を必要とする諸問題を想定すれば意義のあるものといえよう。
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