研究課題/領域番号 |
19K02092
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 鹿児島純心大学 (2021-2023) 姫路大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
柳園 順子 鹿児島純心大学, 看護栄養学部, 准教授 (20773831)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 家庭の日 / 青少年育成 / 非行防止対策 / 性教育 / 国 / 学校文化 / 地域社会 / 性・セクシュアリティ / 学校保健界 / 養護教諭 / 純潔教育 / 中等学校保健計画実施要領(試案) / 学校 / ウーマンリブ / セクシュアリティ / アメリカの健康教育 / 不良化防止 / 月経指導 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、文科省は子どもの現代的健康課題の一つに性に関する問題をあげている。今なお議論の対象となり教育・支援が十分に機能していると言い難い現状の背景には、各論者がそれぞれの時点で獲得した「性」に関する解釈の相違が複雑に交錯していると考える。戦後、政府主導で「純潔教育」が推進され「純潔教育と性教育は同意語」として本用語は公式には消滅した。本研究は現在の「性教育」に至る道筋を可視化するために1947-1972年の官公庁資料、新聞・雑誌、文献等を資料に、戦後の混乱の中で学校文化が「純潔教育」をどのように輸入し、その定着を試み「性教育」へと転換したのか性教育構築プロセスを歴史的に解明することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、戦後日本で施策として推進された「純潔教育」が「性教育」へと整理されていくまでの性教育構築プロセスを解明することを目的としている。この目的を達成するために、学校文化における「純潔教育」の認識、指導の担い手とその根拠、実施の場、学校内外の期待、政府の動向、それらを補完する養護教諭の位置付けや教科、月経指導、ロマンティク・ラブ・イデオロギー、ウーマンリブ(セクシュアリティ概念の流入)等の事項について調査を有機的に関連づけて実施し、国(政策)・社会・学校文化の観点から検討する。 令和5年度は、学校文化において「純潔教育」が生徒指導や道徳という形で強化された点に着目し、高度経済成長期の学校とその周縁にまなざしを向け、以下に取り組んだ。①全国初の純潔教育手引書である『純潔教育系統案』を刊行した鹿児島県において「家庭の日」が発祥した経緯を明らかにした。②鹿児島県教育や地元マスコミ等が非行防止対策として「家庭の日運動」を強力に推進し、地域社会を巻き込ながら全国に拡大したことを明らかにした。③これまでの研究を国、社会、学校文化の観点から区分し、性教育構築プロセスの系譜化を行なった。 以上の作業は、戦後施策として推進された「純潔教育」が1970年代初頭に「性教育」と同義語とされる間の社会的流通過程及び変遷を追跡する上で重要な視点を提示するものである。近年、性に関する課題が山積する中で性教育に関する研究が蓄積されているが、本研究はそこに至る道筋の解明に連なるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度は学校を取り巻く周縁、特に地域社会に目を向けた。鹿児島県の小さな農村で誕生した「家庭の日」を手がかりに現地調査を実施し、発祥までの経緯を日本家族社会学会で報告した。「家庭の日」はその後運動として展開されるようになるが、その実践記録を収録した『家庭の日』資料集や当時の状況を記述した関係者らの文献等から、「家庭の日」運動が何を期待し、どのようなロジックのもとでその重要性が語られていくのか、という観点から分析し論文化したものを鹿児島純心大学国際文化研究センター報で報告した。さらにこれまでの研究から国(制度・政策)、社会、学校文化における性教育構築プロセスの概要を系譜化し、国際学会(The 27th East Asian Forum of Nursing Scholars Conference)で報告をした。概ね順調に進展しているものの、新型コロナウィルス感染症拡大の影響により未調査のままの部分が残されている。そのため、今後それらを継続調査等を実施した上で、最終報告書のまとめに入る計画である。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症拡大の影響で、研究計画の一部が未実施のままであるため、再度研究期間の1年延長を申請した。令和6年度は残る未調査部分の調査を実施する。成果の取りまとめについては、これまでの各調査の知見が有機的に関連づけられるよう未調査部分の実施に加えて必要に応じて資料を補完しながら行い、その上で最終報告書を執筆する。
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