研究課題/領域番号 |
19K02116
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 日本赤十字看護大学 |
研究代表者 |
鷹田 佳典 日本赤十字看護大学, さいたま看護学部, 准教授 (30634266)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 悲嘆の共同化 / 患者の死 / 医療者のサファリング / デスカンファレンス / M&Mカンファレンス / 対話 / 医療現場と死 / グリーフケア |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、医療現場において、医療者間、もしくは医療者と遺族の間で、患者の死を「共に悼む」ことがどのようにして可能なのか、またそこにはどのような課題があるのかを、社会学的見地から明らかにする。個人化が進む現代社会では、悲嘆も個々の死別体験者が独力で対処しなければならない課題となっている(=悲嘆の個人化)。しかし、死別の悲しみと向き合う作業は、個人で取り組むには困難な場合が多く、他者からの支援や死別体験者同士の支え合い(=悲嘆の共同化)の場が求められる。そこで本研究では、死別体験者の「分断」が特に顕著な医療現場をフィールドに、悲嘆の共同化の可能性と課題について検討する。
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研究実績の概要 |
本研究は、医療者参加型遺族会とデスカンファレンスの調査を通じ、医療現場における悲嘆の共同化の可能性と課題を明らかにすることを目的としている。今年度は、昨年度より実施しているA病院のM&Mカンファレンス(Morbidity and Mortality Conferences)を対象とした継続調査を実施した。 A病院で月1回行われているM&Mカンファレンスに参加させていただいた他、M&Mカンファレンスに参加する医療従事者8名(医師、看護師)にインタビューを実施した。昨年度に実施した10名分と合わせて18名分のインタビュー・データの内容分析を行い、M&Mカンファレンスが①対話の場、②教育の場、③亡くなった患者を共に悼む場、として機能していることが明らかとなった。こうしたことを可能にしている要因として、次の患者につなげるという目的の共有や話しやすい雰囲気作りなど、従来M&Mカンファレンスについて指摘されてきた「非難の文化」とは異なる対話の文化を醸成する工夫がなされていることが示唆された一方、発言者の偏りや発言することへのハードルといった課題もみえてきた。 患者の死に伴う悲嘆については、特定の悲しみ方が支配的となり、閉じられた共同性に向かう危険性も指摘されてきたが、A病院のM&Mカンファレンスにおいては、多職種がフラットな関係で対話を重ね、同じ悲しみ方をするのではなく、「同じ方向を向く」という理念がゆるやかに共有されており、本研究のテーマである悲嘆の共同化の新たな可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はA病院のM&Mカンファレンスの継続調査を実施することができたが、新型コロナの感染拡大の影響もあり、予定していた海外での現地視察(海外のデスカンファレンスやメモリアルサービスの視察)や資料収集ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、昨年度までに実施してきた調査結果をまとめる作業を行う。具体的には、3つの学会発表の内容をそれぞれ論文化し、国内のジャーナルに投稿する。また、海外での学会参加や現地視察も実施予定である。
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