研究課題/領域番号 |
19K02121
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
水嶋 一憲 大阪産業大学, 経済学部, 教授 (20319578)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | プラットフォーム資本主義 / メディア / 制御社会 / グローバル化 / テクノロジー / デジタル労働 / 新封建主義 / デジタル・メディア / アセンブリ / パンデミック / 〈帝国〉 / 戦争 / デジタルメディア / 資本主義 / ポストメディア / 加速主義 / グローバル制御社会 / 技術(テクノロジー) |
研究開始時の研究の概要 |
A・ネグリとM・ハートが、グローバル化する現代世界を新たな視角から捉えるために呈示した〈帝国〉という概念は、社会学を含む諸種の学問分野で多様に論じられてきた。〈帝国〉とは、従来の国民国家の境界を越えたネットワーク状の主権形態や、グローバルな制御(コントロール)社会への移行を指し示す概念である。本研究は、ネグリとハートによる帝国論の新展開の試みを一定評価しつつも、彼らの〈帝国〉研究におけるメディア理論の不備を批判する立場にたつ。その上で、かかる重大な欠点を補い、グローバル制御社会におけるメディア・技術・資本主義の新たな連関を学際的視点から解明するための社会理論の基盤構築に取り組む。
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研究実績の概要 |
本研究は、グローバル制御社会におけるメディア・技術・資本主義の新たな連関を学際的視点から解明するための社会理論の基盤構築を目指すものである。かかる目的を達成するために、5年目にあたる2023年度には、著書2冊(共編著1冊と共著1冊)を刊行し、学術論文1本・書評1本・新聞記事1本を発表した。具体的には、今日ますますその力を増しつつある諸種のデジタル・プラットフォームを中心とする新たなかたちの資本主義の動態とその仕組みにアプローチした『プラットフォーム資本主義を解読する:スマートフォンからみえてくる現代社会』を共編し、「まえがき」と第10章「プラットフォーム資本主義の光景と新封建主義の傾向:スクリーン・ユーザー・Amazon・Uberの分析を中心に」および第12章「プラットフォーム資本主義を解読するための視座:ニック・スルネックの著作を参照軸に」他を執筆するとともに、メディア技術の特性や社会的機能さらにその歴史性を独自の視点から思索してきた28名の研究者を取り上げた『メデイア論の冒険者たち』に、「ジョディ・ディーン:メディア論と左翼政治の交点に立つコミュニスト政治学者」を寄稿した。加えて、プラットフォーム資本による制御・管理と搾取の諸形態に抗するための〈共(コモン)〉の構築可能性を探った論文「機械状資本論ノート:メディア・技術・資本主義 第2回〈ユーザーは共民の夢を見るか:コミュニケーション/プラットフォーム資本主義と〈共〉の実験〉」を発表した。これら二つの著書と一つの論文は本研究課題の目標達成に向けた重要な成果とみなすことができる。また、本研究課題を進める上でスルネック『プラットフォーム資本主義』やネグリ=ハートの諸著作は基本的な参照点をなすものであり続けてきたが、前者については書評を発表し、後者についてはアントニオ・ネグリ氏の死に際して追悼文を新聞文化面に寄稿したことを付け加えておく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
5年目にあたる2023年度には、著書2冊(共編著1冊と共著1冊)を刊行するとともに、学術論文1本・書評1本・新聞記事1本を発表した。これらは本研究課題の目標達成に向けた重要な成果の一環として位置づけることができる。だがその一方で、新型コロナウイルス禍の影響により、当初予定していた国内外での研究調査を遂行することができなかった。この点については、次年度より国際学会における対面報告の実施等を通じて研究連携を推進していく予定である。これらの理由により、総合的に見て「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の影響により、海外のシンポジウムや研究調査に参加することが困難になったため、当初計画に変更が生じ、補助事業期間を延長せざるを得なくなった。今後は、これまでに構築・整備することのできた土台をもとに、単著・共著等の刊行に向けた研究テーマの整理と原稿の執筆を進めるとともに、学会/シンポジウムでの報告や研究調査等を通じて、多様な分野の研究者たちとの交流を深め、そこで得られた知見を本研究の取りまとめ作業に活用する。また、最終年度にあたる次年度には、国内外の研究協力者をはじめ多方面と連携し、研究推進方策をさらに探求していく準備を進めている。
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