研究課題/領域番号 |
19K02133
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
山室 敦嗣 兵庫県立大学, 地域資源マネジメント研究科, 教授 (90352286)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 原子力施設立地点 / 生活保全 / コミュニティ / スペクトラム思考 / 生活の場の再創造 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、原子力開発が惹起する地域生活を揺るがす諸問題に関して、原子力施設の立地点住民の弾力的・持続的な対処を支えるコミュニティの実証的解明を試みる。ここでいう諸問題とは、原発の存廃とそれにともなう地域経済の問題、核廃棄物処理の問題、原子力施設の安全確保、原子力災害で被害をうけた場合の受苦救済などである。本研究をつうじて、原子力開発が引き起こす諸問題をめぐる社会学的な解決論の深化に貢献することを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、茨城県東海村の核燃料加工会社JCOによる低レベル放射性廃棄物の焼却設備の設置をめぐる紛争をとりあげ、その紛争への対処でうまれた住民間の分裂を、住民自身がいかにして乗り越え、その過程でどのようなコミュニティが形成されたのかについて調査分析を行った。その結果、JCOを取り囲む地域自治会を基盤として、スペクトラム思考にもとづく意思表示装置を備えたコミュニティが形成されたことを明らかにした。このコミュニティは、JCOの意思決定過程にJCOが認めざるをえない対象として自らを組み込み、日常的な監視にもとづく一定の決定権と発言権を有しているので、原子力立地点での生活保全に寄与すると考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
原子力施設立地点で暮らす人々の生活保全の活路をどこに見いだし、それをどう切りひらけるかに関する社会科学的研究では、原子力政策の転換条件や代替政策を探究する政策論のみならず、原子力事業者の意思決定に一定の影響力をもちうる地域コミュニティのあり方についての議論も必要なはずだが、この点についての研究は十分ではなかった。その意味で本研究が、住民主導で形成され地元の原子力事業者に一定の決定権を行使した地域コミュニティの形成条件を明らかにしたことは、原子力城下町化した地域の変革にかかわる研究の地平を広げるとともに、立地点自治体の施策や地元住民の社会実践にも資するといえる。
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