研究課題/領域番号 |
19K02137
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 清泉女子大学 |
研究代表者 |
大野 俊 清泉女子大学, 文学部, 教授 (10448409)
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研究分担者 |
比留間 洋一 静岡大学, 国際連携推進機構, 特任准教授 (30388219)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 介護移民 / 市民権 / 定着 / 社会統合 / 技能実習生 / 特定技能 / 介護留学生 / 経済連携協定 / 外国人 / 家族帯同 / 長期定着 |
研究開始時の研究の概要 |
日本政府は、人手不足が深刻な介護分野における外国人労働者の受け入れを加速している。2019年度には「特定技能」という新たな在留資格も設け、経済連携協定(EPA)枠での「特定活動」や「介護」など他の在留資格と並行する形で、主にアジア諸国から介護労働者の受け入れを進める。 そうした中、在留資格によって求められる日本語能力や市民権(家族帯同権等)の相違が問題になるだろう。本研究では、日本国内の受け入れ介護施設のほか、介護労働者送り出しのアジア諸国、すでに「介護移民」を多数受け入れている欧米・アジア諸国の実情も現地で調査し、日本の介護移民の市民権のありよう、社会統合策、長期の職場定着の要諦などを探る。
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研究実績の概要 |
[国内調査] (1)2022年7月初旬、共同研究者の比留間ら4名の研究者とともに専門学校における留学生200名以上対象のコロナ下の生活、意識等に関するアンケート調査を実施した。介護留学生10名(ベトナム人とタイ人)と高齢者施設で勤務の技能実習生・特定技能労働者5名(ベトナム人)に対するグループ・ディスカションも実施し、彼らの来日動機、将来設計などに関して意見を聴取した (2) 2022年9月~12月、ベトナム人介護留学生・技能実習生10名を対象とする介護福祉士国家試験対策講座を15回開き、学習の障壁面などに関して参与観察をした。 [海外調査](1)2022年9月下旬にマニラに出張し、移住労働者省、技能実習生等研修機関などで聴き取り調査を実施した (2)2023年3月下旬にハノイに出張し、ベトナム看護師協会、人材派遣・研修会社などで聴き取り調査を実施した。 [学会発表](1)大野は2022年5月28日開催の日本保健医療社会学会大会で「コロナ禍時代の『看護・介護移民』の生活と適応」というラウンドテーブル(RT)を組織し、これまでの研究成果を発表。比留間もRTに参加し、ベトナム人介護技能実習生54名対象のアンケート調査の成果等を発表 (2)大野と比留間は2023年2月25日に開催の介護福祉教育学会大会で「介護分野におけるベトナム人留学生と技能実習生の現状認識等に関する比較分析―コロナ下での個別・グループ面談調査より」と題して共同発表した。 [論文]大野は単著として「パンデミック下における『ケア移民』のライフヒストリー ― 日本の介護現場で働く移住労働者たちのコロナ禍体験」(『清泉女子大学紀要』第70号)、「ハワイの長期療養介護施設がコロナ禍で直面した諸問題―施設経営者らとの面談を踏まえての考察」(『清泉女子大学人文科学研究所紀要』第44号)を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、コロナ禍に伴う市民の行動規制は2020年度や2021年度同様に続いた。しかし、死亡率の低いオミクロン株が主流になったため、感染が比較的収まっていた時期には留学生を多数受入れる関西の福祉系の専門学校や高齢者施設を訪問することができ、対面でのアンケート調査やヒアリング調査を実施することができた。 出入国の規制も年央以降は緩和されたこともあり、研究代表者の大野は2022年9月下旬にフィリピン、2023年3月下旬にはベトナムにそれぞれ出張し、これから日本に向かう介護労働者、彼らを日本に送り出す人材育成養成機関、現地の政府関係者、日本大使館の関係者、看護協会会長、介護施設経営者らを対象とした聴き取り調査を実施することができた。これによって、労働者輸出大国であるフィリピンとベトナムにおける若者たちの日本での就労や生活、介護という業務に対する認識、将来的には日本でどのような在留資格を得て、家族帯同を含めて日本での移住生活をどのように展望しているかなど「介護移民」の意識に関して一層の理解を深めることができた。 2022年度はオンラインや対面での研究成果の発表は学会の場以外でも多く行い、本研究の成果である学術論文2本を発表した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は本研究の最終年度である。本科研や他の研究資金を活用して調査にあたった他の研究者とも情報・意見交換の場を持ち、研究成果をさらに深みのある論文や報告書(日本語と英語)にして発表予定である。 複数の学会における研究成果の発表は2023年度も引き続き行うが、市民向けの講座でも発表し、研究成果をより広く社会に還元する予定である。
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