研究課題/領域番号 |
19K02155
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
松永 友有 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (50334082)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 社会保険制度 / 自由貿易 / 保護主義 / 通商政策 / イギリス / 関税改革 / 社会保険 / ケインズ / 労災補償 / 保護貿易 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、第一次大戦前の福祉国家体制草創期を対象として、自由貿易国か保護貿易国かという相違が各国の社会保障制度の態様を重要な面で規定していたというオリジナルな説を、主に労災補償制度に焦点を当てつつ実証する。 具体的には、厳しい競争圧力にさらされていたイギリス、オランダのような自由貿易国は、ドイツ、フランスのような保護貿易国と比較して、雇用主に及ぼすコストの軽減をより強く意識した政策展開をしていたことを国際比較的に実証する作業を行う。さらには、こうして生じた制度的差異が経路依存性の効果を通じて、現代の社会保障制度にも一定の名残をとどめている可能性についても究明する。
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研究実績の概要 |
本科学研究費の対象である研究課題に関連して、2名の匿名査読者による審査を経たうえで、著名な国際ジャーナルであるNew Political Economyに筆者単著の学術論文(Research Article)、"Significance of economic openness for the origins of social insurance policies in the initial stage: a comparative study"が2024年3月15日付けで掲載された。なお、横浜国立大学による研究支援により、本論説はオープン・アクセスという形態で掲載されている。 本論説は、1880年代から1914年(第1次世界大戦勃発年)という社会保険制度草創期における全ての主要欧米工業諸国を対象として、自由貿易国と保護主義国に分類したうえで、近代福祉国家体制がいかにして生成したのか、という研究史上の大問題に関して、オリジナルな視点から独自の考察をおこなったものである。 また、2023年7月1日には、横浜国立大学で開催されたマルサス学会の年次大会において、「ウィリアム・ベヴァリッジの過剰人口論批判」と題する研究報告をおこなった。本報告は、福祉国家体制の設計者として知られるウィリアム・ベヴァリッジが若き日に展開した過剰人口論批判の動機を独自の視点から解明したものであり、ベヴァリッジの理念に新たな光をあてるものである。 その他、横浜国立大学経済学部紀要『エコノミア』において、2024年2月付けで、「イギリス帝国をめぐる二つのヴィジョン―自由貿易帝国対帝国特恵関税同盟」と題する論説を掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
世界的に著名な国際ジャーナルであるNew Political Economyにおいて、2名の匿名査読者による厳正な審査を経たうえで、単著の英語論文、"Significance of economic openness for the origins of social insurance policies in the initial stage: a comparative study"が2024年3月15日付けで掲載されるに至ったことは、大変重要な研究成果である。 New Political Economyは、国際政治経済学(International Political Economy)の分野においては、Review of International Political Economyと並ぶトップ・ジャーナルである。政治学分野全体の中でも、最上位層に位置するジャーナルであり、直近の2022年のデータによると、インパクトファクターは4.2であり、社会科学分野の中では非常に高い。 また、2023年7月1日には、横浜国立大学で開催されたマルサス学会年次大会において、「ウィリアム・ベヴァリッジの過剰人口論批判」と題する研究報告をおこなったほか、2024年2月付けで、横浜国立大学経済学部紀要『エコノミア』において、「イギリス帝国をめぐる二つのヴィジョン―自由貿易帝国対帝国特恵関税同盟」と題する論説を掲載した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題に関しては、既に著名な国際ジャーナルであるNew Political Economyに論説を掲載するという成果を得たが、本科学研究費によりこれまでおこなってきた海外出張により収集した大量の史料の中には、未だ検討が進んでいない史料が残っている。これらを改めて分析する。また、本研究課題である社会保険制度の比較研究に関しては、陸続と新たな研究が公刊されているので、こうした文献資料を引き続き収集していく。 また、国内の他大学図書館に所蔵されている史料を調査するための国内出張、その他、本研究成果を学会において報告するための国内出張を予定している。
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