研究課題/領域番号 |
19K02161
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
児島 亜紀子 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (40298401)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 反抑圧的ソーシャルワーク実践 / 女性支援 / 婦人保護施設 / ジェンダー / 反抑圧的実践 / ソーシャルワーク / 反抑圧実践 / フェミニズム / AOP |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、DVや性暴力など、ジェンダーに関連する諸困難を抱えた女性たちのエンパワメントとアドボカシーを推進すべく、わが国の女性支援現場に反抑圧実践 (anti-oppressive social work practice)を導入し、展開していくための理論的な足場づくりを行うことである。英国やカナダのAOP理論と実践を読み解き、わが国の社会福祉、わけても女性支援に関わる制度の特質や課題を浮かび上がらせながら、AOP導入の可能性を探る。
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研究成果の概要 |
反抑圧的ソーシャルワーク実践(AOP)に関する先行研究を吟味した結果、AOPは特に草の根的な実践活動に用いられ、女性支援にも適合的であることが明らかになった。本研究では、婦人保護施設の職員にインタビューを行い、AOPで重視される批判的省察がどのように行われているのかを調査した。その結果、職員は自分たちが利用者を抑圧している可能性があることを自覚していた。また、職員は自らの支援の民主化をはかったり、利用者の意見を重視したりするなどして、抑圧構造を打開するよう努めていた。職員たちの批判的省察はかなり徹底しており、日本においても、今後AOPに基づくプログラムの展開が可能であることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究でのインタビューの結果、①支援者たちは利用者の置かれた困難が社会的・政治的な構造に起因するものとして把握していた②支援者たちは、専門職者に宿るパワーに自覚的であり、自らが利用者を抑圧する可能性があることについて十分認識していた③支援者たちは、措置元の機関と委託先の施設という、組織間権力の非対称性のために、利用者に対して十分な支援ができないことに自覚的だということがわかった。彼らは批判的省察を行っており、今後AOPのプログラムを導入する上で、受け入れの土壌はすでにできあがっていることが示唆された。本研究で得られた知見は、学術的にはもちろんのこと、社会的意義という面からも貴重なものである。
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