研究課題/領域番号 |
19K02182
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
|
研究機関 | 法政大学 (2020-2023) 千葉大学 (2019) |
研究代表者 |
伊丹 謙太郎 法政大学, 公共政策研究科, 教授 (30513098)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 賀川豊彦 / 関東大震災 / 協同組合 / 非営利組織 / 社会的連帯経済 / パートナーシップ / SDGs / 災害救援 / 非営利セクター / 組織間連携 / 協同組合間協同 / 非営利組織連携 / 協同組合運動史 / マネジメント |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、1)狭義の専門領域としての協同組合研究における「協同組合間協同」を具体的対象とした知識社会学的研究であるとともに、2)広義には、「組織間連携」をテーマとする政策研究/組織論研究として、市民社会セクターに属する非営利組織が、その事業展開において他組織や異なるセクター組織との間で創出し得る連携のパターンとそれぞれの可能性を検討するものである。
|
研究実績の概要 |
本研究は協同組合間協同の歴史を通して、非営利組織の事業パートナーシップのあり方について検討するものである。2023年度は、1923年に発災した関東大震災から100年を迎える年でもあり、同時代に震災救援活動からはじまった諸団体の展開について議論する機会が多く得られた。元来、社会運動家・事業家である賀川豊彦の東京での活動を中心に研究を進めてきたこともあり、本研究課題の一環として、大正期の非営利組織や事業体、社会運動の歴史を改めて確認する機会が得られたことは、本年度の大きな成果につながった。歴史・思想史研究の視座から本課題に取り組んでいるなかで、現代の災害研究やコミュニティ研究に関わる実践者・研究者との対話の機会に恵まれた本年度は、研究の視野を広げ、研究の社会的意義を改めて考え直す適切なタイミングとなった。同時に、非営利組織間のパートナーシップのあり方として着目している「社会的連帯経済」についても、いくつかの展開があった。1)国内外の多くの研究者・実践者の協力を得て、現場のフィールドワーク(「新しい協同探訪」という月刊誌でのシリーズ企画-全10回)を実施することができた。2)労働者福祉中央協議会主催の社会的連帯経済の連続セミナーのメインナビゲーターとして9月から毎月1回、1年間にわたってオンライン公開講座を開催し、複数のテーマから社会的連帯経済の可能性について議論を進めている。その他、上述の関東大震災百年の関連企画として賀川豊彦論の雑誌掲載や書籍執筆のほか、日本協同組合連携機構JCAの都道府県協同組合連携組織全国交流会のコーディネートなど、全国の協同組合や非営利組織との交流を深め、事例収集を進めることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画はコロナ禍前であったため、大幅に計画を変更し国内中心の研究推進を前倒しするとともに、オンラインにて海外研究者との共同研究を進めることになった。結果、オンラインの活用が功を奏して、いずれにおいても、当初予定していた以上の計画進捗を実現させることができている。ただし、コロナ禍仕様の研究が順調である分、当初の海外調査等で予定していた計画が実施できていない状態である。特に軌道を戻さないでも研究成果は想定以上のものとなっているが、予算執行においてはコロナ前後でのバランスを取り戻す形にはなっていない。1年間の延長の上にさらに1年間の期間を延長したのは、なんとか当初計画の海外調査の一部は実現したいという考えからである。オンラインミーティングなどを技術的インフラが整った結果として簡易な海外交流が実現し、全体としての成果は当初計画よりも進んでいるというのが実態ではあるが、海外での調査が実現できていないのはマイナス面ともいえる。少なくとも国際シンポジウムなどを開催することで最終的に国内外の研究知見を交差できるような成果を産み出したい。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度には、これまで収集してきた事例等を改めてまとめ直し、具体的な成果としての公刊準備に進めていく。2024年4月には、社会的連帯経済をテーマに責任編集を務めた研究誌『WELFARE』14号(全労済協会)が刊行され、5月には国内の有識者やステークホルダーを対象としたインタビュー集をILO駐日事務所より刊行する予定である。また、2022年より続けている社会的連帯経済公開講座も2024年度は5月から7月に計10コマ開催することになっている。その他、秋から冬にかけて東アジアの社会的連帯経済をテーマとした国際シンポジウムの開催準備に入っており、これまで実施してきた公開講座やシンポジウム等の活字での成果公開に向けて順次準備を進めている。なお、2024年度より新しい研究課題をスタートさせたが、これは、本研究課題を発展させるものであり、研究成果は途切れないように刊行していく予定である。
|