研究課題/領域番号 |
19K02185
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中西 真理子 大阪大学, 大学院連合小児発達学研究科, 特任講師 (50724118)
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研究分担者 |
永谷 文代 大阪大学, 大学院連合小児発達学研究科, 招へい教員 (50773206)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2020年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 発達障害 / 早期介入 / 自閉スペクトラム症 / 早期診断 / エンパワーメント / 養育者インタビュー / 心理社会的影響 |
研究開始時の研究の概要 |
自閉スペクトラム症の早期発見と早期集中療育は世界各国で有効性のエビデンスが認められている。早期集中療育のリソースが乏しい日本の現状においても、早期診断・早期介入は養育者のエンパワーメントを実現し、療育参加や関わりの変容によって発達に良い影響を及ぼすと考えられるが、エビデンスは不足しており、支援の現場では3歳未満での診断に対して否定的な見方も根強い。早期発見のため新たに自治体で立ち上げた施設において、既存のシステムでは早期診断につながらない児を3歳未満で医療機関受診につなげた症例を対象に、発達障害の早期発見・早期診断の児と養育者への影響を明らかにし、事業の実効性について検討する。
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研究実績の概要 |
研究者らは発達障害早期支援に関する受託研究を堺市で実施してきたが、3歳未満の早期に診断に繋がる例は少なく、療育開始が遅れることが多かった。介入の遅れの問題を解決するため、3歳児以下も対象とした未就学児の発達相談事業を開始した。市の子育てひろばで専門的評価を実施し速やかに医療や療育機関に紹介することで、早期介入に寄与することを目指した。このシステムを通して3歳未満で早期介入に導いた症例の就学までの経過を調べ、その後の発達経過と養育者の変容を明らかにし、早期診断の意義について考察することが、本研究の目的である。 令和2~4年度で16名の養育者が参加し、医療や支援の利用状況、就学時点での対人応答性、養育者のエンパワーメント尺度などの質問紙の記入、および早期介入から現在までの心情にまつわる半構造化面接に協力した。就学時点で発達検査の結果を入手できなかった例には発達検査も実施し、データ取得を令和4年度中に終了した。令和5年度はデータ分析と考察を実施した。 対象児の来談時月齢は19-35ヶ月、診断見立ては全例自閉スペクトラム症(ASD)であった。全例専門医療機関を紹介したが、就学時点で12.5%が受診しておらず、37.5%が確定診断を受けていない認識だった。全領域DQ変動の平均値は+18.8±17.8で、79%で上昇が見られ、DQ70以下の児は就学までに半減した。確定診断の有無でDQの変動に有意差はなかった。また養育者のエンパワーメント度や肯定的変化の尺度は診断の有無にかかわらず高い水準で、有意差は見られなかった。エンパワーメント度は自閉症状が強く障害が重いほど高い傾向だった。面談からは、早期から専門機関に相談し児の特性に向き合うことで、発達の伸びにかかわらず養育者の自己効力感が高まっていることがうかがわれた。 これらの成果をまとめ令和5年度の小児神経学会で発表した。
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