研究課題/領域番号 |
19K02196
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 東京福祉大学 |
研究代表者 |
田中 喜美子 東京福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (50823655)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 地域精神保健サービス / 仕事参加の質 / 利用者参加型尺度開発 / 尺度項目生成 / 参加型内容的妥当性評価 / 日本語版尺度 / 尺度の理論的枠組み構築 / 国際学術雑誌論文掲載 / 日本でのデータ収集準備 / 継続研究計画執筆 / 「参加の変容」に関する共同研究論文執筆 / 参加 / 地域精神保健クラブハウス / 意思決定 / 仕事 / コミュニティ感覚 / 自由 / 平等なつながり / ウェルビーイング / クラブハウス / 精神障害当事者 / 参加過程 / 仕事活動参加の質 / 仕事の人間関係への参加の質 / 日常生活の質の変容 / 変容のメカニズム / 地域精神保健福祉 / 参加の質 / 尺度開発 |
研究開始時の研究の概要 |
脱施設化のグローバル化する精神保健福祉にとって「参加」は本質的であるにもかかわらず、その尺度の本格的な開発はまだ始まったばかりであり、既存の尺度は参加の「質」を反映していない。本研究では、地域における精神障害当事者の「参加の質」を測定する尺度を作成する目的で、(1)欧米で過去に収集された質的データ(N=130)と今回新たに収集するフォーカスグループデータ(N=30)を分析し、英文尺度項目を生成して日本語に翻訳し、(2)当事者を含むエキスパートパネルとの会議や(3)予備調査により尺度を修正し、(4)最終尺度の信頼性・妥当性を統計的に評価する。
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研究実績の概要 |
2022年度の主な成果は、前年度までに欧米からのフォーカスグループデータを基に構築した「参加の質」の概念的枠組み(2021年度出版)に沿って生成した尺度項目候補(268意思決定・507仕事・613居場所)を精錬・短縮したこと、項目の内容的妥当性を評価したこと、日本語版を作成したことである。まず、意思決定・仕事下位尺度項目候補を120意思決定・224仕事項目にまで減らし(2022年7月)、居場所下位尺度の修正を予算の関係上、今後の研究課題とした。また、日本から質的データも収集し、欧米ベースの概念的枠組みの妥当性を確認した。英文項目の日本語翻訳・逆翻訳を経て尺度の概念的言語的同一性も確立した。 2022年秋にはこれらの項目の内容妥当性を、欧米・日本の研究者(10人)・クラブハウス職員経験者(1人)・クラブハウス利用者(3人)の合計14人に評価してもらい、統計的に処理した。120項目意思決定・224項目仕事尺度はいずれも評価者間信頼性カッパ指数が約0.3と低かったが、このうち同意率が75%以上の項目は意思決定が40項目、仕事が42項目であり、カッパ指数も非利用者間では0.74と0.71と十分に高い評価者間信頼性を示し、予備調査で使えるかに見えた。しかし、3人のクラブハウス利用者の評価を入れるとカッパ指数が意思決定尺度において落ち、項目の中には非利用者全員が推薦したのに、利用者の1人が自分の経験とは関係ないと評価した項目もあった。また、どの地域精神保健サービスの文脈で項目を評価しているかによっても評価者間信頼性が変わりうることも示唆した。これらの結果から、より高い内容的妥当性を確保するためには、いろいろなサービスの文脈から、特に利用者からのフィードバックがもっと必要であることが示唆された。以上の成果はこの1月に英国で開催された社会精神医学国際学会で口頭発表をした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
初期尺度項目数が当初予定したより多くなったことは一つの理由であるが、それにもまして大きく足を引っ張ったのは、COVID_19によるパンデミックである。感染防止のため、ズームでの研究会議に切り替えたため、尺度項目を精錬するため週1回、1時間~1.5時間の研究会議を通年もったが、日米間の時差や研究以外の業務の関係上、これが限界であった。渡米して集中的に会議を持てればもっと効率よく進めることができ、少なくとも半年は時間の短縮ができたと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の科研費申請時における今後の計画は、さらに日本での利用者参加型の専門家会議を実施し、内容的妥当性の高い初期尺度を完成し、次に初期尺度の予備調査(N=30)を実施することによりさらに尺度を調整し、本調査(N=500)により最終尺度の統計的信頼性・妥当性を検証し、結果の雑誌投稿へと向かうことである。これを実行する意志には変わりはないが、目下、日本での利用者や職員からの協力者の募集に多大な困難を経験しており、時間が当初予定していたよりはるかにかかるであろうこと、パンデミックは峠を越えたもののまだ続くであろうことから、40%が基礎疾患を持つと報告されている本研究の対象者層から、本調査で500人の利用者参加を得ることはおそらく不可能であろうことが予想される。対策としては、本年度は既に延長後の最終年度であるが、パンデミックでの遅れを取り戻すため研究期間の延長を学振に申請することの他に、欧米でもデータ収集をして補足する必要があるであろう。
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