研究課題/領域番号 |
19K02204
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
市瀬 晶子 関西学院大学, 人間福祉学部, 准教授 (50632361)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 認知症の人のエンド・オブ・ライフケア / パーソンセンタードケア / サルトジェニックケア / ケアの文化 / スピリチュアリティ / スウェーデンの高齢者福祉 / エンド・オブ・ライフケア / 積み重ねられたモデル / ケアの共有システム / 共有システム / 文化としての認知症ケア / 認知症の人の世界 / 周辺症状 / 関与観察 / 認知症ケア / スウェーデン / 関係発達 / エピソード記述 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、認知症の人のグループホームにおいて長期間の関与観察を実施し、「認知症の人とその家族、支援者はどのように認知症とともに生きる枠組みを作り上げていっているのか」を明らかにする。また、日本とスウェーデンの両国で調査を行うことにより、認知症の人と家族・スタッフとの関係性の日本人の特徴、現在の日本社会が自明としている文化的環境、価値基盤、社会システムの特徴を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2023年度は、スウェーデンのX高齢者ケア住宅で行った計205時間の関与観察とインタビュー調査によって得られた実証的材料について、研究協力者と分析を行い、既存のサルトジェニックケア、心理・行動症状への対処、パーソンセンタードケアに対して、以下の新しい知見を得て、論文としてまとめた。 1)従来のサルトジェニックケアは、健康な面あるいは強さに焦点を向け、認知症の人の不安や落ち着きのなさは、その人にできることをしてもらって方向転換を図る。しかし、そうしたアプローチは認知症の人の不安や落ち着きのなさが何を意味しているのかを見逃してしまう。認知症の人の家に帰りたいという懇願は、気を紛らわせたり、方向転換したりするよりも自己やアイデンティティの基盤を失った苦しみとして理解する必要がある。 2)先行研究では、認知症の人の心理・行動症状に対してはその背景要因を分析し、その要因を取り除くことが推奨されている。しかし、関与観察の結果からは認知症の人の暴力的な行動は、裸を見られることや失敗が恥ずかしいという理にかなった反応と理解することができた。ただし、本人や環境の要因は日々変わっていくため、認知症の人の体言化されたメッセージを読み、その知識を積み重ねていく必要がある。 3)認知症の人は記憶障害があり理路整然と話ができなかったりしても、将来や人生の最後がどうなるのかという問いを持っていた。パーソンセンタードケアでの「その人を中心とする」ケアは、その人が過去から続けてきた習慣や生活を維持することだと理解されているが、それだけではなく、認知症を抱えて生きる現在のその人の関心や価値を置いていることを聴く必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、日本の認知症の人のグループホームとスウェーデンの高齢者ケア住宅で関与観察とインタビュー調査を行い、現在は調査で得られた実証的材料を分析して、結果をまとめている段階である。現在までに、研究実績で報告した内容を「認知症とともに生きるための知識の探究」として論文にまとめ、海外の専門誌に投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は調査で得られた実証的材料について、さらに協力研究者とともに分析し、グループホームにおける入居者のコミュニティや認知症の人のエンド・オブ・ライフケアについても得られた知見をまとめ、論文として公表していきたい。
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