研究課題/領域番号 |
19K02230
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 四天王寺大学 |
研究代表者 |
笠原 幸子 四天王寺大学, 社会学部, 教授 (50342192)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 意思決定支援 / 成年後見制度 / 専門職後見人等 / 支援過程 / 法人後見 / 意思決定支援ツール / 成年後見活動 / 被後見人 / 虚弱高齢者 / 意思決定 / 介護福祉士の実践 / 成年後見 |
研究開始時の研究の概要 |
認知症、知的障がい、精神障がい等のために意思決定能力が不十分な人たちは、自ら意思決定しながら、その人生を自律的に生きているとは言い難い。意思決定能力が不十分な被後見人を支援する後見人の役割は重要である。意思尊重と保護という対極にある理念の中で、被後見人の意思を尊重しつつ最善の利益を追求することが求められる。 そこで、本研究では、1)被後見人の意思決定を支える支援の実態を明らかにする、2)被後見人(親族を含む)ならびに支援機関との連携の中で求められている後見人としての役割と専門性を明らかにする、3)後見人が活用できる具体的な「意思決定支援のツール」を作成したい。
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研究実績の概要 |
2023年度は、1.「意思決定支援研究会」を5回開催した。2.シンポジウムと研究報告を兼ねた「主体性を支える支援ツール」の研究発表会を開催した(2024年3月2日)。3.研究会の有志と大阪府下で法人後見を実施している法人による「大阪法人後見協議会」を創設した。4.質的研究の成果として「意思決定支援チェックリスト」を作成した。当該チェックリストは3つのブロックから成り、それらは51のコード、16のカテゴリーから構成された。5.質的研究と量的研究の成果をまとめた報告書を作成した。6.日本社会福祉学会に「成年後見活動における意思決定支援の構造とその展開過程―社会福祉士,弁護士,司法書士に対する質的調査より―」というタイトルで投稿し、採択された。7.Gerontology Society of America 2024「Annual Scientific Meeting に「Components of Supported Decision Making by Adult Guardians for Individuals with Diminished Decision-Making Capacity in Japan」発表要旨を提出した。8.量的研究では、意思決定支援という漠然とした概念を27の質問項目に置き換え、探索的因子分析を実施した。その結果、3つの因子が抽出された。第1因子を【意思決定支援するための具体的手法】と命名し、第2因子を【前提条件としての本人理解】と命名し、第3因子を【意思決定支援を促進するチーム支援】と命名した。 上記1~8の研究実績は、意思決定支援活動の実態を明らかにし、成年後見人の役割やその専門性の明らかにすることは、成年後見人の専門性の向上に寄与したと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの質的研究及び量的研究に関する研究成果報告書を作成した。また、意思決定支援を具体的に実践するための「意思決定支援チェックリスト」も完成した。そして、質的研究結果に関する論文を日本社会福祉学会に投稿し採択された。よって「おおむね順調に進捗している」と評価した。しかし、①成年後見人等の養成のための研修、 ②作成された「意思決定支援チェックリスト」が、成年後見人の適切な意思決定支援を実践するために、どのように寄与するかについて、研究成果の実装には至っていない。よって、研究助成の最終年は、成年後見等の実践者である研究協力者とともに、上記2点について取り組みたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
1.継続して「自己決定支援研究会」を開催(2ヶ月に1回)する。 2.4月~5月は、2023年度に創設した「大阪法人後見協議会」のメンバーを中心に、成年後見活動をしている成年後見人等を対象にした研修会を具体的に企画し開催する。 3.6月~8月には、本研究成果物である「意思決定支援チェックリスト」が、成年後見人の適切な意思決定支援に、どのように寄与するかについて、実際に成年後見人等に「意思決定支援チェックリスト」を利用していただき、その効果についてインタビュー調査をして、「意思決定支援チェックリスト」を評価する。 4. 量的研究結果に関する論文を投稿する。 5. Gerontology Society of Americaの2024 Annual meetingにて、研究発表を行う。
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