研究課題/領域番号 |
19K02234
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 青山学院大学 (2021-2022) 青山学院女子短期大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
杉田 穏子 青山学院大学, コミュニティ人間科学部, 教授 (50270012)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 出資前診断 / 妊娠継続 / 中断 / しょうがい観 / ダウン症候群 / 出生前診断 / 命の選別 / 遺伝カウンセリング / 出生前診断(NIPT) / ダウン症 / 障害観 / 命の多様性 |
研究開始時の研究の概要 |
出生前診断は方法が簡便化し精度が増している。2011年に開発された無侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT)は、採血だけの検査で精度も高く、日本でも臨床研究を実施、今後一般化される見通しである。NIPT判定後、羊水検査でダウン症候群の確定診断を受けた胎児の9割以上が中絶されている。 本研究では、確定診断後「妊娠継続」を選択し出産した親たち20~30組を対象とする。「妊娠継続」の選択に至るまで、どんな葛藤があったのか、専門家/非専門家からの助言内容、対象者の人間観・障害観をインタビューで明らかにし、命の選別ではなく、命の多様性を認めあう社会の構築に向けて必要な要因を明らかにする。
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研究実績の概要 |
これまで妊娠継続を選択した妊婦、夫婦8例のインタビュー調査を実施してきた。その結果、8例中の半数は、迷いなく妊娠継続を選択しているが、半数は妊娠継続か中断かをギリギリまで迷いながら選択している姿が明らかになってきた。またそのような人たちは中断を選択した人にも強い共感を示していた。そこで、本年度は主に国内外の文献の情報を集め、出生前診断でさまざまなしょうがいの診断を受けた人を対象としている文献の中から、特に「ダウン症の診断」を受けた対象者を扱っている文献を詳細に検討した。その中でAmy R. Reed と Kathryn L. Berrier(2017)は、出生前診断の結果、ダウン症の確定診断を受け「中断」(3名)、「出産」(4名)「養子縁組」(2名)をそれぞれ選択した人たちにインタビューを行い、「意思決定に影響を与える要因は、明らかに一人ひとりに対して異なる意味、ベクトル、および価値を有する」と結論づけている。例えば「妊婦が高齢」という要因も、ある人には「これが最後の妊娠の機会だから産もう」という意味に、ある人には「この子が成人する時には私は60歳で、障がいのある子は育てられないので中断しよう」と別の意味付けがされるとしている。このようなインタビューの経験、文献の知見から、確定診断後の選択に影響を与える要因の検討を深めるには、妊娠継続をした人だけでなく、中断をした人にもインタビューを行う必要性があると判断し、倫理審査委員会に対象者の変更申請を行い、2回の審査を受け、2023年4月に承認された。そのためインタビュー調査は行えていない。2022年度は、海外の文献で、出生前診断で「ダウン症の診断」を受けた対象者を扱っている最新の3つの文献を比較し論文化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
対象者を「中断者」にも広げることにしたため倫理審査会での審査が必要で、そのための準備を行い、インタビュー調査は行うことができなかった。倫理審査は2023年4月に承認されたので、対象者を見つける困難さはあるが、今年度はインタビュー調査を行っていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
この研究は今年度で終了するはずであったが、新型コロナ感染の影響、さらに対象者を「妊娠継続者」だけでなく「中断者」にも広げたため倫理審査が必要になり、ようやく2023年4月に承認された。以上のことなどから、十分にインタビュー調査を行えていない。そのため研究期間の1年延長をお願いしたいと考えている。
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