研究課題/領域番号 |
19K02244
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 聖徳大学 |
研究代表者 |
須田 仁 聖徳大学, 心理・福祉学部, 准教授 (40369400)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 高齢者虐待 / 高齢者虐待防止法 / WHOによる高齢者虐待の定義 / 養護者による高齢者虐待 / WHO高齢者虐待の定義 / 同居者虐待 / WHOの高齢者虐待の定義 / 高齢者虐待防止法で保護されない高齢者虐待 / WHO定義 / 養護者要件 / エルダーミストリートメント / カットオフライン / 権利侵害 / 養護者 / 権利擁護 / 虐待概念 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は高齢者虐待に精通した学識経験者と松戸市役所管理職で形成されたチームによって行う。平成16年度から平成29年度に松戸市に通報された高齢者虐待事例をレビューし、「虐待を受けていながら、加害者要件の課題から法的に虐待と該当しない虐待事例」を抽出する。次に、抽出事例の類型化を行ない、それらの事例を包括する虐待概念について検討する。そして「虐待を受けていながら、加害者要件の課題から法的に虐待と該当しない事例」を保護・救済するための新たな高齢者虐待概念(仮説)の開発を行う。結果を検証したうえで、「新たな虐待概念での支援を推奨する」とともに高齢者虐待防止法の法解釈の修正提案、法文面の修正提案を行う。
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研究成果の概要 |
高齢者虐待対応の現場では高齢者虐待防止法の規定に該当しない通報事例が存在し、高齢者が保護されない場合がある。千葉県松戸市において、2017年から2019年までに報告された高齢者虐待の通報事例のうち、正確な記録がある497件を研究対象とし、そのうち299件が法律に合致する虐待、475件がWHOの定義に合致する虐待であった。また法的に虐待とされないと判断された198件のうち176件がWHOの定義に合致する虐待とされた。つまり、研究対象の497件のうち35.4%が国内の法律では虐待とされなかった。通報では、法律の保護を受けられない多くの虐待事例が存在しており、より包括的な法的定義が求められている。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
国内全体で松戸市と同様の通報内容を仮定すると、全国の高齢者虐待の報告件数34,057件のうち、12,060件が実際には虐待を受けているにも関わらず高齢者虐待防止法の保護を受けられていない可能性があると推測される。高齢者虐待防止法の定義は、世界基準のWHOの概念と比較しても非常に狭い範囲である。実際には虐待を受けている多くの高齢者が、虐待防止の法的保護の対象外であることが国内の大きな問題であり、法改正による高齢者虐待防止法の定義を改定し、高齢者の権利を擁護できる定義にする必要がある。
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