研究課題/領域番号 |
19K02251
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
|
研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
飯村 史恵 立教大学, コミュニティ福祉学部, 准教授 (10516454)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 主体性 / 関係性 / 人権モデル / アドボカシー / 支援付き意思決定 / 意思決定支援 / 権利擁護 / 転用問題 / 権限拡張 / 関係的権利 / 社会モデル / 相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
日本において成年後見制度は、超高齢社会に不可欠な「権利擁護」の仕組みとして期待され、制度の利用促進を図る法律が2016年に成立している。しかし、日本も批准した国連障害者権利条約の第12条は、障害者を他の者と平等な法的能力を有する主体として捉えており、他者による代理的意思決定による成年後見制度から、本人が主体的に意思決定できる支援の確立への転換を求めていると解される。 このような状況の中で、重度の認知症や精神・知的障害者を含めて、本人の思いや願いの尊重を軸にした新たなしくみを構築することを目指し、本人と周囲との関係性に着目し、社会福祉における「権利」の捉え直しを行うことを研究目的とする。
|
研究成果の概要 |
近年、日本では成年後見制度への過度な依存がみられる。本研究のアンケート調査から、制度には高い肯定的評価があったが、本人の主体性が発揮されているとは言い難い結果が得られた。さらに、社会全体の寛容性やゆとりの欠如、支援を必要とする人々への理解の低下が指摘された。 また、障害者権利条約における人権モデルに着目すべきことが示唆された。権限を持つ人が決定を下す便利な制度より、多様性の中で他者と生きることを保障すべく、人間の尊厳に立脚する生存権を再構築することが求められている。 社会の中で孤立するが故に制度に頼らざるを得なくなるため、地域でのネットワークを構築し、本人と関係性を創るプロセスが重要である。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、社会福祉学を専門とする研究代表者が、法学及び社会福祉学、行政学等の知見を有する研究者、社会福祉専門職、法律専門職等とのヒアリング及びアンケート調査等を通じて、実証的に成年後見制度が有する問題点の構造を明らかにし、さらに、国際的潮流を見据えつつ、今後の方向性を見出そうとした点に学術的な意義があると言える。 成年後見制度は、民法に基づく制度であるが、社会福祉実践と密接に関係しており、本研究において、その基本構造に生存権を位置づける必要があることを示唆した点は、今後の研究の深化が必要であるが、これまでの研究にはみられない独自性を有すると言えよう。
|