研究課題/領域番号 |
19K02267
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
松本 由美 大分大学, 福祉健康科学部, 教授 (90627689)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 医療保険 / 保険者 / フランス / ドイツ |
研究開始時の研究の概要 |
人口高齢化等の変化を背景として、医療保険の持続可能性を高めることが喫緊の政策課題となっているが、多数の保険者によって運営される日本の医療保険にとって、この課題への対応は容易ではない。 日本と類似した医療保険制度を持つフランスとドイツでは、近年、保険者の編成をめぐる重要な改革が実施され、財政的安定や効率性・公平性の向上が図られている。 そこで本研究は、フランス・ドイツとの比較考察に基づいて日本の医療保険者の編成の「あるべき姿」を示すことを目的とする。
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研究実績の概要 |
令和4年度は、令和3年度から取り組んでいるフランスとドイツの保険者編成に関する比較考察をさらに進めることができた。まず、高齢者の医療をめぐる比較研究の成果をまとめて「医療保険における世代間連帯-ドイツ・フランスの年金受給者の位置づけ―」と題する論文を専門雑誌に発表した。本論文では、ドイツとフランスの医療保険を保険者の編成に注目して歴史的に検討し、次のようなことを明らかにした。両国の医療保険では、歴史的には年金受給者と現役世代の区分(制度上の差異)が存在していたが、それらは制度の見直しや改革を通じて次第に取り払われてきた。その過程において、分立型の保険者編成の特徴をもつドイツの医療保険では、1990年代のリスク構造調整の導入が、財政の安定性や負担の公平性の観点から重要であった。単一保険者によるフランスの医療保険(一般制度)では、1990年代のCSG(一般社会拠出金)の導入以降、年金受給者と現役世代の応能負担のルールが統一され、医療保険における負担の公平性が高まった。 令和4年度の研究活動を通じて、比較対象国における保険者編成について検討を深めるためには、それぞれの国の医療保険における「連帯」のあり方に着目し、さらに考察を進めていく必要があることが分かった。令和4年度末には、ドイツのマックスプランク社会法・社会政策研究所における調査研究を実施し、そのような問題意識から研究を深化させるために必要な情報・文献収集等を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和4年度は、本研究事業におけるこれまでの研究蓄積に基づいて、フランスとドイツの保険者編成に関する比較考察を一定程度進めることができた。また、年度末には、ドイツのマックスプランク社会法・社会政策研究所に滞在して調査研究を行うことができた。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大によって令和2・3年度に調査が実施できなかったこと等の影響により、研究全体の進捗は遅れている。このため、令和5年度まで期間を延長して研究事業を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、これまでに実施したフランス・ドイツの保険者編成に関する比較考察をふまえて、日本の医療保険の保険者編成のあり方について、比較の視点から検討を行っていきたい。また、フランスあるいはドイツにおける補足的な訪問調査等を実施し、連帯をめぐる比較考察等の研究課題に取り組むとともに、研究事業全体のまとめを行うこととしたい。
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